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memory of children

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カーテンコール。

FFIX ED後小説。


「え?黒魔道士の村へ?」

ガーネットがその話を聞いたのは一週間前だった。
ジタンは女王陛下の間に堂々と窓から侵入し、いつもガーネットを驚かせる。
窓からの侵入者に最初はスタイナー率いるプルート隊も右往左往していたが、侵入者がジタンだとわかるとどうやら隊員も落ち着いたようだった。
彼の持つ金色の尻尾がゆらゆらと揺れるのを視界の端に入れながらジタンの言葉を鸚鵡返しのように聞き返した。

「黒魔道士達は俺達みたいに広い世界を知らないだろ?だから俺達タンタラスの劇を見せようって仲間達に話したら案外反応良くってさー。
んで、ボスも快く承諾してくれたからアレクサンドリアの公演が終わったらそのまま黒魔道士の村まで行こうって事になったんだ。
ビビが芝居好きだっただろ?だから他の黒魔道士達にはウケはいいと思うんだよな。
ま、ジェノムの皆はたぶんあとで色々疑問ぶつけてくるだろーけど」

「でも随分と急なのね?それにまだ皆にも会ってないんでしょ?」

「皆にはこれから会うよ。じゃなきゃエーコやフライヤがあとでうるさいからさ」

「酷いわね、皆ジタンに会いたくて遠いところから来てるのに。それにシドおじさまもジタンに会いたがっていたわ」

「エーコに会えばおのずとシドのおっさんにも会えるだろ?じゃあ、そういうことだからさ」

ジタンは「じゃ!」と片手を上げてガーネットに挨拶すると、そのまま窓から飛び降りて街中に姿を消していった。
タンタラスの芝居はアレクサンドリアでは有名な劇団であり、同時に人気絶頂の劇団とも言える。
毎回立ち見や屋根からの視聴者も多いほどに。
チケットの購入も簡単なものでなく、随分と貴重な物となっている。
ガーネットは窓から見下ろすアレクサンドリアの街を見つめながらジタンの言葉を一から思い出し始める。
折角久しぶりに会えたと思えば、今度は外側の大陸に行ってしまうなんて。
一緒に旅をしていた頃が酷く懐かしく思える。
色々な事がありすぎて想い出、とは言い難い旅立ったが、それでもガーネットの胸には様々な想い出があった。
そして、その想い出の中には必ずと言って良いほどジタンの姿がある。
依頼された誘拐だとしても、ジタンは最後までガーネットの傍にいた。
ふざけないで、なんて怒ったらジタンはごめんごめんといつも謝る。
そうして、気遣ってくれる。
心に傷を負った時も、喋れなくなった時も、髪を切った時も。
ジタンがいて、皆がいてくれた。
女王という座についてから皆との交流はすっかりなくなってしまったが、心の中には皆がいてくれる。応援してくれている。
ガーネットはアレクサンドリアを吹き抜ける柔らかい風を頬や長い黒髪に受けながら笑みを零した。

風が通り去ると、白い鳩が小さな群れを成して青い空へと飛び立っていった。
昼を告げる鐘の音がアレクサンドリア全体に響き渡った。



金色の尻尾が右へゆらり、左へゆらり。
風に吹かれて少し長めの金髪がふわりと舞い上がる。
ジタンは劇場艇で芝居の準備をしていた。
今回は主人公マーカスの友人役。仲間のシナとブランクとあーだこーだと打ち合わせをしている最中だった。
打ち合わせ、といっても何度も公演している演劇だから、今更打ち合わせもなにもないが、失敗は出来ない。
なんてたって生公演、本番一発勝負!なのだから。
コーネリア役のルビィが衣装チェックをし、バクーが劇場艇の指示をしている。

「…ぶぇっくしょん!!」

「うわっ!!なんだジタンきったねぇ!!」

「ジタンさん、風邪ずら?」

「いや~、そんな筈はねぇと思うけど…誰か俺の噂してるのか?いや参ったねモテ過ぎるとくしゃみまで出ちまうなんて!」

「よく言うぜ…」

ブランクがぼそっとそういうが、ジタンは聞いていなかったのか単に聞こえてないのか、使い過ぎてぼろぼろになった芝居の台本を見つめていた。

「でもジタンさん、今度向かう黒魔道士の村ってどんな所ずら?」

「んー?ビビの仲間がたくさんいる村だよ」

「そりゃ初耳だな。でも芝居好きなビビの仲間なら期待出来るな」

「ああ、マーカスとコーネリアの愛にスタンディングオベーション間違いなしだろうな!」

ジタンが自信満々にそういうと、「よし」と台本を置いて軽く伸びをする。

「ま、俺達の芝居見て泣かねぇ奴なんかいないだろうけどさ!」

ジタンがそういうと、シナは飛び上がってそうだそうだと頷く。

「ジタン~、シナ~、ブランク~、あんたらそろそろ準備せぇや~?開演までもうすぐやで!」

「わかってるずら~、おいらエンジンの方見てくるずら!」

シナがマイとんかち片手に軽い足取りでエンジン部へと消えていくと、ブランクが同じように立ち去ろうとしたジタンを呼び止めた。

「おいジタン」

「なんだ?」

「お前、ちゃんと仲間には会ってきたのかよ?」

「そこは抜かりないぜ。まぁ、約一名はどこ行ったかわかんねぇから会ってねーけど、皆元気そうだったしな」

「この公演が終わったらすぐに外側の大陸だったよな?そんな軽い調子でいいのかよ」

「別に大丈夫だろ?永遠に帰ってこないわけでもねぇし。それにアジトの方に帰ってもアレクサンドリアはそんなに遠くないさ」

「…全く、計算してんだかしてないんだか…俺は先に行くぜ。じゃないとルビィがうるさいからな」

ブランクは寄りかかっていた壁から背中を離して部屋から出て行った。
ジタンは暫く一人でそこに座り込んでいた。
腰に下げているダガーを抜いて、窓から漏れる夕日に刀身を翳す。
きらきらと輝くよく磨かれた刀身を、夕日に染まった青い瞳でうつし、いつものようにニッと笑みを浮かべた。

「大丈夫」

16歳の少年の明るい笑み。
大丈夫だという確信がある。
仲間がいるから、何でも出来る。
仲間がいるから、この身を預けられる。安心できる。

例え遠く離れていても、心は離れやしない。

マーカスとコーネリアの台詞だ。

このガイヤの空の下で誓い合った言葉。交わした言葉、約束した言葉。

「…こうでもしないと外側の大陸なんか行けないからな」

ぽりぽりと後ろ頭をかき、思い描くのはまだまだ世界を知らない妹の顔。
自分という存在をもっと知ってもらういい機会だ。
飛び立つのはいつでも出来る。
問題はそれが『いつ』なのか、だ。
行動するか、しないか。
それは己次第。

だったら、俺は行動するまで。
行動しなきゃ始まらないのだから。

「ジタン~!開演五分前やで~~!!」

「悪い!今行く!」

ルビィの焦りのこもった声にジタンは弾かれるように返事を返し、部屋を出て行った。

夜の空に浮かぶ大きな月を仰ぎ見るのは旅をしていた仲間達。
さぁ、いよいよ始まるよ。

劇場艇の音楽隊の演奏と共に、観客の歓喜の声が上がった。








2008.07.08 (c)rlrl.

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