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memory of children

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君が好きだから

FFIXED後の盗賊と女王様。




アレクサンドリアは今日も快晴である。
街中が今日も賑わい、中央広場は今日も子供のはしゃぐ声や世間話をする大人の声で溢れ返っている。
幸せを告げるように聴こえる時報代わりの鐘の音。
立ち並ぶ家々の屋根の内の一つに、仰向けになって寝転ぶ人物が一人。

「ふあぁぁぁ~……」

大きな口を開いて、これまた大きく伸びをするのは今日ものんびりとアレクサンドリアで過ごすジタンだった。
いつもと同じ演目なのにルビーは何故か監督のようにメンバーをシゴきながら練習させているのを隙を見て抜け出してきた。
自分で作った劇団の影響なのか、半端なくきつい。
本人いわく、

『ええ芝居したいんやったらこれくらいヌルいやろー!大体あんたらはいつも演技がヌルいねん!!』

との事だ。

『君の小鳥になりたい』の主役はマーカスとルビーなのだから、自分は別にいいだろ…とジタンはルビーに台本で叩かれた臀部を摩りながらため息をついていた。
これでも本気なんだよー!などと反論を返したブランクには合掌したい。が、どうなったかは定かではない。

「あら?ジタン…?」

「え?あれ?ダガー??」

声を掛けられて上半身を起こせば、よいしょ、と屋根を登ってきたガーネットが現れた。
すっかり寝てしまったのかと自分の頬を抓ると、地味な痛みが残る。
そうすると、目の前で正座をしてにっこりと笑うガーネットが本物だと解った。

「何をしてたの?劇団の練習に行ってるとばかり思ってたわ」

「え?あ、いやー…ちょっと、休憩に、な。今日天気いいしな!」

「そうね、確かに最近よく晴れてるわ。雨だとちょっと憂鬱な気分になるものね」

ガーネットはジタンの隣に腰を下ろし、屋根の上からアレクサンドリアを一望する。
彼女はアレクサンドリアの女王となり、こんな風に外を出歩くことも難しくなっている筈だとジタンは思っていた。
でも、紛れもなく彼女はこうやって自分の隣で座って、「見て見て」と目の前の光景を見ながら微笑んでいる。
女王様なんて、どれだけ大変なのかと心配していたが、ジタンは少し安心した。

「どうしたの?」

「うん、ダガーって前よりもずーっと可愛くなったなぁーって思って」

「ジタンったら、いつも女の子はそうやって口説くの?」

「そんなまさか!ダガーだから言ってるのにさ」

「ふふ、相変わらずで安心したわ」

本気なのに、とガーネットに対する最高の口説き文句もあっさりかわされ、肩を落とす。

「でも、初めて会った時よりも俺は今のダガーの方がいいんだけどな」

「どうして?」

「前はほら、言葉遣いもお堅い感じだったし、いつも一人でぱーっと走って行くだろ?」

「あの時は…でも、この言葉遣いは王女という身分を隠すためにジタンが勧めてくれたから…この方がずっと話し易いし、こうしてる時だけ女王って事を忘れられるもの」

女王として、国を支える立場というのは16歳の少女には重た過ぎると思った。
でも、何も彼女一人で支えているわけではない。

「だって、皆がいるし…ジタンだっていてくれるから」

その中に自分が含まれているのも嬉しかった。
ガラにもなく頬を赤らめて照れるジタンに、ガーネットは軽くからかう事も忘れてはいない。



そんな話を交えながら、ジタンはふと思い出した。

「そういえばさ、クジャに言われたんだっけ」

「何を?」

「ダガーの呼び方を統一しろって。あいつそういう所は拘るんだよなぁ」

ナルシントだし、と心の中で付け加えると、クジャが自分がどれだけ美しいか延々と語る姿が目に浮かんでジタンはぐったりした。
ガーネットは首をかしげながら、

「皆が呼びやすい呼び方でいいのよ?私はアレクサンドリア女王のガーネットであり、召喚士の生き残りのセーラでもあり、ジタンを助ける仲間のダガーでもあるの。
どれが私自身なんてないわ、だって全部私なんだもの。それって…おかしいかしら?」

本当に彼女は変わった。
優しい顔でそう聞くガーネットに、ジタンは微笑んで首を左右に振る。

「おかしくなんかないさ。それに…盗賊の相棒はダガーって決まってるし?」

「あら、それは私用の口説き文句なの?」

「うーん、そうじゃないけど…それで俺の気持ちが伝わればそれでもいいや」

伝わったかどうかはやはり彼女次第で解らないが、こんな関係が続けばいいと思ったのは初めてかもしれない。

「さて、お姫様。わたくしめがお城までお送り致しましょう」

「あら、ではお願いしようかしら。盗賊さん?」

ジタンは片膝をついてガーネットに手を差し出せば、彼女も笑ってその手をとった。


手の届く範囲は守りたい。
だから、今この手をとったお姫様を守れるのなら――

俺はこの瞬間瞬間がすごく幸せに思う。










『幸せを感じるとき20のお題』
1.好きな人といるとき
2008.10.22 (c)rlrl.

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