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memory of children

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全てを守りたいから

OP前でセシルが暗黒騎士になった話。(痛い表現があります)




「セシルよ、お前もそろそろ進むべき道を決めねばならんのだな。月日が流れるのは早いものだ」

「はい、陛下」

「ではセシル、今一度問おう。お前は何の為に力を振るう?」


兵学校を卒業したセシル・ハーヴィは運命の分かれ道の前に立っていた。
考えた末に導き出した答えに、セシルは迷いはなかった。
兵学校で学べることは全て学び、その力を振るう時がやってきたのだ。

バロン王の前で、セシルは問われた質問にゆっくりと口を開いて答えた。




分岐点を進んで3年が経った。
そして、少し冷たい風の吹く秋が訪れ、バロン国内の木々も紅の色に染まり始めた。
カイン・ハイウィンドが竜騎士としての修行を積んで、本日をもってバロン王から竜騎士団の団長に指名された。
カインはやっと父親に近づく為の第一歩を踏み出したと思った。
カインが訓練で疲弊した身体を休めるために城内の一角で腰を下ろし、兜をとった。
垂れ下がる金色の前髪をかきあげて息をつくと、視界の端に久方ぶりに見る後ろ姿を見つけて声を掛けた。

「…セシル、か?」

「え?…カイン!」

振り返った少し長めの銀髪はぱぁと表情を明るくしてカインの傍まで駆け寄ってきた。

「どうしたんだい、カイン。座り込んだりして…」

「いや、ここの所訓練が少し厳しくてな」

「あ…竜騎士団の団長になったんだよね?おめでとう、カイン」

「いや…まだ一歩やっと踏み出せただけだ」

カインはそう言うと、そっと手を差し出してセシルの頬に触れる。
セシルも頬に触れるカインの手に微かに触れる。

「…お前に逢いたかった」

頬から手を離し、さらりとセシルの銀髪の一房を撫でる。
セシルは持っていたハンカチでカインの額の汗を拭い、笑みを浮かべた。

「…カイン、聞いて」

「なんだ?」

セシルは一瞬だけ視線をカインから外し、顔を俯けて腰に下げていた剣の鞘を掴んだ。
その剣は禍々しいほどの雰囲気を漂わせ、刃をも闇色に染まるバロンに一本しかない剣。

「セシル、それは…」

口には出したくない言葉だったが、唇をかみ締めながら剣を睨みつける。

「……お前、まさか…暗黒剣を…」

「そうだよ、ここ数年山にこもって…やっ極めることが出来たんだ」

「ならば、お前は…暗黒騎士に志願したのか!?何故ッ…!!」

「…これは僕自身が決めたこと…今度はカインにだって何も言わせない。僕の意思だ」

「だからといってこれは…!!」

思いもよらぬ事態にカインは頭が混乱している。
よく見れば、セシルの腕や指先には治りかけている傷や出来たばかりの傷だらけだった。
白くて少し華奢な腕も、剣を握るために鍛えた為に少し筋肉質になっていた。

「…カイン、今ポーション持ってる?」

「え?あ…訓練用で支給されたのがあるけど…」

「良かったら、それ貰えるかな?」

カインは何も答えずにセシルにポーションの入った瓶を渡した。

「…少しだけ、付き合ってもらいたい場所があるんだけど…いい?」

「…お前の頼みなら」

セシルはカインの手を引き、城の中に戻っていった。
どこに連れて行かれるのかも聞かされていないカインが辿り着いた先は、城内の医療室。
傷だらけなセシルでも滅多に訪れない場所なのはカインも知っていた。
それほど大きな怪我でもしない限り。
しかし、医療室で待っていたのは白魔道士ではなく、数人の近衛兵と白衣を着た医師と、整備士だった。

「お待ちしておりましたセシル殿、既に準備は出来ております」

「…お願いします」

セシルはそういうと、握り締めていたカインの手を離れて医療室の奥へと進んでいくが、カインが咄嗟にセシルの手を掴んだ。

「…竜騎士、カイン・ハイウィンド殿ですね。中へ一緒に入るなら武器は携帯せずにこちらで預けて下さい」

「おい、一体何の話を……」

「カイン、君は外で待っててもいいから」

「いや、何かは知らんが俺も共に行く。不安そうな顔をしているお前を一人で行かせるものか」

「カイン…」

「…では、こちらへ」

入口の近衛兵に槍と剣を渡すと、奥にある簡易ベッドにセシルは腰を下ろして上半身の服を脱いだ。
整備士が厳重に封をしている金属製の箱の封を開き、蓋を開ける。
見たこともない闇色の甲冑。
しかし、厳重な封をしている所と、箱の錆びれ具合を見ると、随分と昔のものだというのしか解らなかった。
人の手を借りてやっと鎧を身に着け始めるセシル。
下半身がまず闇色に覆われ、ベッドに腰掛けるセシルの背中や肩に医師が消毒を施し始める。
カインは壁に寄りかかっていたが、その様子を見て何か嫌な予感がした。
セシルの両手を握り締める。
だが、整備士がその二人の間を割って入り、上半身にも鎧を着せ、セシルの口に分厚く積み重ねたガーゼを押し込んで身体が動かないように両手をベッドに固定させる。

「おい!これは何の真似だっ!!」

「カイン様、落ち着いてお聞きください。暗黒騎士の鎧は古代より伝わるこれ一着しかないもの。その為に造られた構造も貴方様のような鎧とは勝手が違うのです。
これは闇に誓いを立て、己の命を犠牲にして戦う騎士の甲冑。身体と魂が離れぬよう、皮膚に直接固定させるのです」

「なん、だって…!?」

「口のガーゼはその時の衝撃で舌を噛まぬようにするものです。以前にも何人もの暗黒騎士が生まれてきましたが、その苦痛故に己の命を絶つ者が殆どなのです」

「そんなのにセシルを…!?甲冑など新しいのを造ればいい話だろう!?何故こんな古いものをっ……!!」

「バロン王国は古代の昔より国を支えるべく暗黒騎士が暗躍してきました。その伝統を守るのも国の、我々の務めなのです。
カイン殿、何卒ご理解を……セシル殿はそれを全て承知の上でこの暗黒騎士の道を選んだのです」

医師がどれだけ説明してもカインは納得が出来ない。
しかし、セシルが全て承知で、と聞くと口を噤んでしまう。
整備士が工具箱から機械を取り出すと、一人はセシルの身体を押さえ、一人が機械を手にし、セシルの両肩、両腕、背中に止め具を押し込んでいく。
止め具を身体に押し込められる度にセシルの身体が飛び上がり、繋がれた腕を引き千切らんばかりに引っ張り、ガーゼを押し込まれた口から悲痛な叫び声がくぐもって医療室に響いた。
カインはセシルの痛みを少しでも和らげてやろうと、何度も声を掛ける。
ぽろぽろと涙を零すセシルの涙を指で拭ってやり、やっと地獄のような時間が終わるとすぐにガーゼを外してポーションを飲ませる。
汗と涙を流し、荒い呼吸を繰り返しながらセシルは平静を取り戻そうとする。

「…出血のご心配はありません。ただ、この苦痛は1ヶ月ほど続くと聞いております。それまでどうかセシル様のお隣に…」

「…ああ」

では、と整備士が工具を片付けて医療室を出て行くと、医師はベッドの周囲のカーテンを閉めて医療室を続くように出て行った。
やっと呼吸が安定してきたセシルの顔を覗きこむように、カインは床に膝をつく。

「…痛むか?」

「…だい、じょうぶ…カイン、ありがと……」

「気にするな、ポーションもう一本飲んでおけ」

カインはベッドの傍のチェストから常備してあるポーションをセシルの口元まで持っていく。
少しずつ喉にポーションの液体を流し込むセシルを見つめる。

「……カイン」

「なんだ?」

「……ありがとう、傍にいてくれて…怖かったんだ、一人で乗り越えるのが…」

「…いいんだ、謝るな…何も言わなくていい」

カインはセシルの傷に障らないよう、抱きしめる。

小さい頃は笑顔を見せてくれたセシルが、こんな鎧に身を包み、兜を被って顔を隠してしまう。
もう二度と、この鎧はセシルの身を離れることはないだろう。
セシルが鎧を脱ぐとき、それは――

魂が身体を離れるとき。








『ではセシルよ、今一度問おう。お前は何の為に力を振るう?』

『…陛下と、僕の大切な人を守るためでございます』


この暗黒騎士の強大な力なら、きっと誰でも守り切ることができる。

例え僕の身体が壊れようとも、僕は剣を握り締める。

そして、



――僕と共に、地獄へ送ればいい。















恋人設定で40のお題
『25.傍にいて』
2008.11.05 (c)rlrl.

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