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memory of children

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暖かい内にお食べなさい。

FFIV現代パラレル。

三年生:エッジ・リディア・ギルバート
二年生:セシル・ローザ・カイン



平和な昼下がり、2年生の教室の窓際の一番後ろの席のセシルは長めの銀髪を後ろで一つで纏め、鞄から弁当箱を取り出した。

「セシル、一緒にいいかしら?」

声を掛けてきたのは幼馴染みのローザ、その隣にはカイン。
セシルはどうぞ、と机を少し広めに開ける。
ローザはセシルと同じように弁当箱を置き、カインは食堂で買った調理パンをいくつか置いた。

「カインはいつもパンなのね?たまにはお弁当にしたらどう?」

「朝起きてまでそんな事したくない」

「ローザ、カインは部活があるから仕方がないよ」

「それにしてもそれじゃ食事のバランスが悪いわ」

ローザが溜息をついてそういうと、何かを思いついたようにセシルの顔を見た。

「そうだわ、セシル。あなたが作ってきてあげればいいんじゃない?」

「え?僕が?」

「そうよ、だってセシルは最近まで自炊だったでしょう?」

「おいローザ、勝手な事は言うな」

「あら、カインだってセシルの手料理食べたいんじゃない?食べたことないでしょう?」

そう聞かれると、カインはぐっと言葉を呑み込む。
確かにセシルの手料理なんて食べたことないし、そんな機会もなかった。
そう思うと、これはいい機会なのかもしれない。

「…セシル、嫌なら嫌って言えよ」

カインの言葉に、セシルはふるふると首を左右に振る。

「どうして?そんな事ないって、じゃあ明日持ってくるよ。カインは嫌いな食べ物なかったよね?」

「ああ…特には…」

カインは心の中でガッツポーズをした。
泣いてもいいくらいだったが、クールがウリのカインは表には出さずに黙って調理パンの袋の口を破った。






翌日の朝、セシルは早めに起きて弁当の準備をしていた。
まだ兄も起きていない時間。こんなに早く起きるのは数ヶ月ぶりだと思いつつ、フライパンを温め始める。
すると、セシルの隣の部屋の扉が開いた。

「セシル、お前どうしたんだ?こんなに朝早く…」

「おはよう兄さん、今日は少し早く目が覚めちゃって。だから今日の朝ごはんとお弁当は僕が担当。」

「それなら昨日の晩にでも言ってくれれば…いきなりだから驚いただろう」

「あはは、ごめんなさい」

兄のゴルベーザは腰まで長い銀髪を適当に纏めて浴室へと向っていった。
セシルはキッチンで今日の2人分の朝食と約束の分の弁当作りを始めていた。

着替えも全て済ませ、新聞を広げるゴルベーザの目の前にあるテーブルに朝食が並ぶ。
弁当の準備も出来上がり、セシルは一先ず息をついた。
朝のテレビから流れる朝のニュースと今日の天気予報を伝える明るいアナウンサーの声が部屋に微かに響く。
今日も外はいい天気のようで、窓からは暖かそうな日の光が入り込んでくる。

「うん?セシル、やたらと弁当の数が多いな」

「あ、友達の分なんだ。それと僕と、兄さんの分」

「友達、ね…」

カインとの交際はゴルベーザには黙っているセシルはカインも『友達』という事にしている。
だが、兄は鋭い。
いつバレるかセシルは内心ドキドキしているが顔には出さない。
今日もお弁当でバレませんように、とお願いの意味も込めて両手を合わせて「いただきます」と言って箸を持った。

セシルはゴルベーザよりも先に家を出る。これはいつもの事。
学生鞄といつもは持たない別の荷物も持って学校へ向うと、知っている後姿が目の前を颯爽と通り過ぎる。
セシルはその後姿に声を掛ける。

「カイン!」

自転車に乗っているその人物は声に答えるように自転車を止める。
長い金髪がゆらゆらと揺れ、振り返った。

「セシルか、おはよう」

「おはようカイン、でもカイン今日遅くない?部活は?」

「休み。昨日言わなかったか?」

「聞いてないよ。知ってたら聞かないでしょ?」

セシルはわざわざ自分に合わせて自転車を降り、それを押して歩いてくれているカインにそう言った。
すると、セシルは思い出したようにカインに紙袋から取り出したものを差し出した。

「はい、今日のカインのお昼。」

「…ありがとう」

カインは微かに笑みを浮かべ、弁当を受け取る。
二人の時にしか見れないカインの笑みに、セシルは嬉しそうに笑っていた。



午前中の眠たい授業も乗り越え、やっとお昼になった。
セシルはローザにも作った弁当を渡していた。
どうやら昨日ローザもセシルに弁当を頼んでいたらしい。
しかし今日は三人で弁当を囲む事はないようで、3年のリディアがローザを連れて中庭に行ってしまった。
セシルとカインは弁当を持って教室ではなく、屋上へと向かった。
やっと腰を落ち着かせて食べようと思った矢先、セシルの携帯電話に着信が入る。

『セシルか?私だ』

「兄さん?どうかしたの?」

『いや、それが…お前に作ってもらった弁当だが…いつもと雰囲気が違うような気がするのだが……』

ゴルベーザの言葉に、セシルは「え?」とカインに渡した弁当の包みを開けて蓋を開けると……

「に、兄さんごめんなさい!友達のお弁当と間違えて渡したみたいなんだ!!」

と、セシルは電話の向こう側のゴルベーザに何度も謝って電話を切った。
確かに弁当の中身はこざっぱりしていて、どう見ても育ち盛りの高校生が食べるような内容ではなかった。
カインは弁当の中身を見てぷっ、と吹き出し、肩を震わせて笑った。

「カイン本当にごめん!兄さんのお弁当箱と包みが一緒だから間違えちゃって……」

「いや…気にするな、食えない訳じゃないからな…それにしてもお前は本当にうっかりしてるな」

「ご、ごめん…」

セシルは叱られた子供のように落ち込んだ。
カインの弁当ということで、張り切って少し豪華になった弁当をまさか取り違えるとは…とセシルは何だか泣きたくなってきた。
すっかり落ち込んで無口になってしまったセシルに、カインは弁当を食べながら落ち込むセシルに軽くキスをした。
驚いたセシルは徐々に頬を赤らめて顔を上げた。

「中身は違っても味は変わらないだろ?」

「…うん…」

「俺はこれはこれでアリだと思うけどな」

「…うん」

セシルはほんのり頬を赤らめたまま、何度もカインの言葉に頷いた。











「セシル、今日の弁当の事だが…」

「本当にごめんなさい兄さん、今度からは気をつけるから……」

「いや、それは構わない。ただ…随分中身が豪勢だったようだからな……友達の、と言う事だったな?」

「え?あ、うん…そうだよ、友達の…」

「にしては、あれは豪勢過ぎる気がしたが…セシル、まさかお前あの男の…?」

「や、やだなぁ兄さんったら!確かにあのお弁当はカインとローザのだけど、ローザも中身は一緒だったんだよ?カインのだけそんな事したら贔屓になっちゃうよ!ね?」

「……セシル、一つ確認するが」

「な、なに?」

「カインとは、友達以上の付き合いはないんだな?」

「当たり前だよ、カインも僕も男だよ?そんな訳ないから、ね?」

「……解った、お前を信じよう。夕飯が出来たら呼ぶから部屋で待ってなさい」

納得したのかは定かではないが、とりあえずセシルは部屋に戻って息をついた。
ゴルベーザはどうもカインの事をあまり快く思っていないらしく、今日の一件でセシルとカインの仲を疑っているようだ。

「(ごめんカイン、兄さんの前では”友達”って事で……)」

セシルはカインに心の中で謝りながら夕飯が出来るのを待っていた。







2008.11.12 (c)rlrl.

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