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memory of children

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兄は少々ブラコン気味

FFIVパラレルでハーヴィ兄弟について。




セシルが高校一年生の夏の頃。
金銭面の援助をしてくれていた養父から連絡が入った。
孤児院で別々に引き取られた兄が見つかって、セシルに会いたいと言っている、と。
安いアパートの一人暮らしを高校から始め、その生活にもようやく慣れた頃だった。
突然そんな報告があり、セシルはどうすればいいのか迷っていた。
たった一人の肉親の兄は会いたがっているが、自分はどうなのか?
兄に会って、もし一緒に暮らすことになれば今まで育ててくれた養父に悪いのではないか?裏切ってしまうことになるのではないか?
そんな事ばかり考えていた。
養父に聞くと、兄は腕のいい医者で、国で一つしかない国立病院に勤務しているという。
そんな凄い人と会うのもセシルは気が引けた。

そんな事を悩んで1週間、相手はセシルの返事待ちで、いつまでも悩んでいられないと気が焦っていた。

「セシル、最近元気ないわ。どうかしたの?悩み事?」

幼馴染のローザがお弁当の包みを持ってセシルの元へやってきた。
心配そうな顔をして、セシルの顔を覗き込んでいる。

「あ、ローザ…ごめん、なんでもないんだ……カインは?一緒じゃないのかい?」

「カインは部活の先輩にお呼ばれされたわ、だから今日は私で我慢してね?」

ローザはにっこりと微笑み、セシルの目の前の席を拝借して弁当の包みを開く。
幼馴染のローザにもこの事は話していない、もちろんカインにも。
セシルは一人、今日もどうするべきか悩んでいた。


その晩、セシルのベッドの上の携帯が着信を告げる。
カインからだった。

「はい?」

『セシル、ローザから聞いたけど…何か遭ったのか?』

カインはローザからこの話を偶然聞き、心配になってセシルに電話をかけてきたのだった。
しかし、セシルは隠すのももう嫌だったようで、カインに悩んでいる事を全て話した。
すると、カインは意外な言葉を口にした。

『国立病院の医者、か…そういえば少し前部活で怪我した時に病院内で見かけた先生がセシルに似てるような気がしたな……』

「え?!」

『長い銀髪で歳は…20代後半から30代くらいだったような気がするけど…悪い、よく覚えてないんだ』

「そう、なんだ…どんな感じの人だった…?」

『そうだな…俺も擦れ違いざまだったから…大人しそうな感じはしたけど』

「カインみたいな感じ?」

『俺ってそんな人間か?』

「まぁ、そう聞かれたらそうかな?」

そうか、とカインは電話の向こうで笑っているようだった。
セシルも口元に笑みを浮かべる。

「…今週の土曜日、会いに行こうかな」

『…そうか』

「今日はありがとう、カイン」

『それはローザに言ってやれよ、ローザも心配してるんだから』

「うん、後で電話するよ」

こうしてセシルは会う決心を固め、ローザにお礼の電話をした後で養父にこの事を伝えた。



土曜日、セシルが緊張しながら国立病院へ向かうと、病院の入口でカインとローザに出会った。

「カインが心配だからって私まで引っ張ってきたのよ?心配性なんだから」

「ローザだって心配してただろ、良いだろ別に…」

ローザは心配してきてくれた半面、セシルのお兄さんがどんな人なのかも気になっていた。
養父の話によると、受付のナースに名前を伝えれば話が通る、という事になっている。
まるでどこかの大きな会社の社長に会うような気分で、セシルの緊張はピークに達していた。
セシルは入ったことも無い国立病院に足を踏み入れる。
中に入れば綺麗な内装で、土曜日ということもあってどこを向いても外来の患者や見舞いにやってきた人間で溢れていた。
セシルは大きな受付のナースに兄の事と自分のことを伝えると、すぐに案内された。
案内された先、そこは小児科だった。
子供達が泣いていたり廊下を走り回っていたりと、内装もナースステーションや入口付近とはうってかわり子供向けで可愛らしくなっている。
外科か内科かと想像していたセシルはなんだか少し気が抜けたように肩の力を抜いた。
案内してくれたナースが「少々お待ちください」とセシル達を子供と母親達で溢れる待合室で待つように告げると、診察室の中へと消えていった。
ローザは周囲の子供達を見て「可愛い」と微笑み、カインは腕組みをしてじっと待ち、セシルは座って辺りの様子を見ていた。
すると、先ほどのナースが「どうぞ」とセシルを診察室へ入るように扉を開けてくれた。
ローザはカインは「いってらっしゃい」とセシルに笑顔を向けて見送ってくれた。

「ふ、二人とも待っててよ?先に帰らないでね?」

「大丈夫よ、ちゃんとここで待ってるわ」

「早く行かないと待ってるぞ」

セシルは二人に背中を押されるように診察室へと入る。

「先生、失礼します」

ナースが仕切りのカーテンを僅かに開けて頭を下げる。
セシルが見たのは、長い銀髪を後ろで結び、白衣を着た男性だった。
小児科には似ても似つかわない風貌と雰囲気で、またしても緊張してしまった。
挨拶をする言葉も出てこず、せっかく頭の中で練習していた言葉もすっかり吹き飛んでしまったようだ。
目の前の銀髪の医者は書いていたカルテを書き終え、傍にいたナースにそれを渡してペンを置いた。

「…とりあえず、久し振りだな、セシル」

「は、はいっ…」

セシルは思わず敬語で喋ってしまい、兄と呼ぶべき目の前の男はふ、と笑って「まぁ座れ」と患者用の椅子に座らせる。

「…3歳だったお前も、もう高校生か…随分お前を捜したよ」

「え…?」

「養父から私の事は聞いていなかったようだな?」

「は、はい…僕も小さかったので……」

セシルは小さな声でごにょごにょと話す。
だが、兄はセシルに色々なことを聞いてくる。孤児院を出た後のこと、学校のこと、友達のこと、私生活のこと。
そんな話しをしているうちに、セシルの緊張も徐々に和らいできているようだった。
どのくらい時間が経ったのか、小児科のナースが「先生、そろそろ」と声を掛けてきた。
セシルは慌てて席を立って帰り支度を始める。

「あ、あのっ、今日はありがとうございました!」

「こちらこそ。…君の養父に私の連絡先を教えてあるから、何かあれば連絡しなさい」

「は、はい…」

セシルはぺこりと頭を下げ、診察室を足早に出て行った。
扉を出ると、ローザとカインはすっかり子供達に囲まれていた。
セシルの顔を見て、ローザは微笑んだ。

「おかえりセシル、お兄さんはどうだった?」

「うん、優しそうな人だったよ…緊張したぁ~……」

「それで?何か進展はあったのか?」

「うん、義父さんに今夜連絡先教えてもらってまた今日のお礼言うつもり」

「…そうか」

じゃ、帰りましょうか。とローザが切り出すと、そのままエレベーターに乗って1階まで降りる。
すると、ナースステーションのナースがセシルを呼び止めて白い封筒を差し出した。
中の手紙、というよりはメッセージカードを取り出すと、そこには一行書かれているだけだった。

『夏風邪には気をつけなさい。

ゴルベーザ』

と、記されてあった。
セシルは微笑みながらその手紙を大事に持っていた鞄に仕舞う。

「ねぇセシル、お昼ご飯食べて帰りましょ?せっかく街まで出てきたんだもの」

「うん、良いよ」

「じゃあ、今日はカインの奢りね?」

「ならジャンクフード決定だな」

「やだ!私を太らせる気なの?」

「サラダ食っとけばいいだろ?安上がりで俺も助かる」

「まぁ!セシル今の聞いた?ほんっとうに女の子の扱いが成ってないわ!」

「酷いなカインってば~」

三人でそんな事を笑い合い、セシルは手紙の入った鞄を大事に持って二人と一緒に歩いた。




セシルが2年生に進級してすぐ、セシルは引越しをした。
今よりもずっと広いマンションに兄と暮らすことになった。

今でも思う。
あの時会わなかったらどうなっていたか解らない、と。












「セシル、お前恋人はいないのか?」

「(ギクッ)…うん、いないよ」

「ローザちゃんは違うのか?」

「ローザは…幼馴染だよ?彼女っていうよりも、一緒にいてくれる方が楽しいっていうか…彼女になっちゃったら、なんか今までと変わっちゃう気がすると言うか……」

「…もう一人の幼馴染は」

「(ギクッ)カ、カインのこと?」

「そうだ」

「カインも友達だよ?そういう兄さんこそ早く彼女見つけてきなよ」

「私はセシルがいればそれで良い」

「(僕、弟なんだけどなぁ…)」










ゴルベーザ兄さんはセシルが大好きです。
2008.11.12 (c)rlrl.

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