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memory of children

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震えないように、温めて

雪の日に温かいその手を。




冬休みも終わって暫く経つ。
1年生もそろそろ終わる頃の1月の下旬。

「はぁ?剣道部の手伝い?!」

カインは放課後セシルに帰ろうと声を掛けた矢先のことだった。
思わずそんな間抜けな声が出てしまった。

「ごめんカイン、もっと早くに言えれば良かったんだけど急な話だったから……」

「でも、お前帰宅部だろ?」

「僕中学まで剣道してたでしょ?練習相手がいなくて困ってる相談されて…僕で良いならって」

「いつの話だ、それ」

「えっと…昨日の放課後、だったかな…だって、カイン部活行っちゃってたからさ……」

セシルがごにょごにょと話していると、カインははぁーと深い溜息をついて机の上に崩れ落ちた。
せっかく久し振りにセシルと帰れると思ったらこれだ。
それでなくてもセシルとは昼休みしか話す機会がないのに、これじゃセシルの恋人の立場が無い。

「…それ、いつまでだよ」

「来月試合があるらしいから、それまでかな……本当にごめんカイン!」

セシルは机に突っ伏してしまったカインに何度も謝るが、カインは「仕方ない」と再び溜息をつくだけだった。
セシルのこの発言と、近付く学年末テストにカインは頭痛がしそうだった。




それからセシルは毎日のように剣道部の手伝いに向かっていた。
高校に入ってから剣道には全く触れていなかったが、腕は落ちていないようで剣道部でも評判だった。
カインも部活で校庭を走りながらたまに聴こえてくる竹刀のぶつかる音と掛け声に耳を寄せていた。

時間は夕刻をとっくに過ぎ、19時前だった。
カインは部活で乱れた髪を結い直し、着替えて下駄箱へ向かう。
今日は今月で一番寒いとお天気キャスターが言っていたのも頷けるほど寒かった。
夕方では空模様は灰色の雲に覆われていたが、この時間では雪がちらついていた。
この地域では珍しい雪にカインも廊下の窓からその様子を見ながら歩いていた。
階段を下りて目の前の下駄箱にも空を見上げる後ろ姿を見つけた。
寒そうにコートを羽織り、靴を履き替えていた。

「…セシル」

カインが声を掛けると、背中を向けていた人物が振り返った。
やはりセシルだった。

「カイン、部活お疲れ様」

「そっちこそ。こんな時間までやってたのか?」

「頼まれたからにはちゃんとやらなきゃね」

セシルはそういうと、小さく笑った。
いつも結んでいる髪を下ろしている、相当寒いようだ。

「それにしても寒いねー、風邪ひかないようにしなきゃ」

「お前寒いの駄目だったな、昔なんか寒いからって布団の中でミノムシみたいに丸まってたよな」

「それ、幼稚園の頃の話だったよね?そうだ、あの日も雪が降ってた!懐かしいなぁー」

セシルはカインと並んで歩きながら懐かしそうにそう話す。

「僕があんまり寒いっていうから、カインが僕の身体の上に毛布とかタオルケットとか色々かけてくれて、最後は手まで握ってくれて…カインの手、温かくて…今でも覚えてるよ」

小さな手を握ってくれる同じくらい小さな手。
本当は外で遊びたいのに、外に出たがらないセシルの為に手をいつまでも握ってくれていた。
そのぬくもりがセシルの手に今でも残る。

見つめるその手を、隣から伸びてきた手がぎゅっと握った。
少し冷たくて、でもじんわりと温かい。
その手をぐいっと引っ張られて、民家の間の狭い路地に連れ込まれる。
セシルの身体が壁に押し付けられて、目の前にはカインの顔。
カインが握る手を、セシルは強く握り返す。
セシル、と名を呼ばれて口付けられる。
今まで交わした事のない深いキス。角度を変え、カインの舌がセシルの歯列をなぞり、口内を蹂躙する。
息継ぎのように漏れる声が艶かしく聞こえる。
息苦しくなってきた頃に唇を離され、カインの唇がセシルの首筋を柔らかく吸う。

「カ、カイン…僕汗かいてるからッ……」

「セシルのなら、俺は汗でも涙でも舐めてやるよ」

「…ヘンタイ!」

べっ、と舌を出したカインにセシルは顔を真っ赤にしてカインの後ろ髪を引っ張った。
カインは引っ張られてずきずきと痛む後頭部を押さえながら寒さでほんのり赤く染まったセシルの鼻をつまんで仕返しをする。

「いひゃい!」

「さて帰るか。なんかスッキリした」

「ひどっ…僕痛いだけじゃないか!」

「キスしただろ?」

「鼻の話しだよ!」

「なら、今度はキス以上のこともするか。どこがいい?お前の部屋?それとも保健室か?」

「カ、カインってそんな事ばっかり考えてるの?!」

「そりゃ、俺も男だからな」

「…ヘンタイ…」

セシルがぼそっと呟くと、カインは再びセシルの鼻をつまんでやる。
「生意気だ」とカインは面白がってセシルに悪戯するが、セシルは更に仕返しと言わんばかりにカインの後ろ髪を思いっきり引っ張った。





「た、ただいま!」

「お帰り。…セシル、走って帰ってきたのか?」

「お、遅くなっちゃったから……」

セシルは道中怒らせたカインに追いかけられてギリギリでマンションのエレベーターに乗り込んできた為、息を切らせている。

明日の朝、カインに会うのが少し怖くなったセシルであった。








2008.11.13 (c)rlrl.

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