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memory of children

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月を見れば、思い出す。

いつまでも、いつまでも――



「…どうした」

広い草原にある高い木の下にテントを張り、疲れた身体を休める。
彼が戻る頃にはもう眠っているだろうとテントへ戻ると、少年はまだ焚き火の前に座っていた。
声を掛けると、幼い顔が振り返る。

「すいません、僕眠れなくて…」

少年がそう言うと、男は少年の真向かいに腰を下ろした。

「…国が心配なのは解るが、眠らんと明日が辛いのはお前だ」

男は焚き火の赤い炎を見つめ、そう少年に言った。

「あの…」

少年は顔を上げると、男も少年の顔を見た。
少年は、自分の心のうちにある不安を語りだした。


少年の父は一国の王だ。
父は少年が幼い頃から優しく、強く、笑った顔がとても魅力的だった。
国民にも兵にも慕われ、少年はそんな父が誇らしかった。
でも、それと同時に少年に寄せられる期待も大きく、それが重荷に感じることもあった。
父の名声、少年への期待、願望。
母も父と同様に今でも英雄として称えられている。

「僕が6歳の時でした」

少年が真夜中に目が覚め、部屋を抜け出すと父の執務室の扉が微かに開いていて、光が漏れていた。
少年はその隙間からこっそり父の部屋を覗いた。
見えるのは父の後ろ姿。
長い緩やかなウェーブした銀髪が見えた。
何かを見つめていた。
それが何かは解らない。でも、髪の隙間から見える父の顔は……悲しげだった。
いつもの優しく、王として国を治める父ではなく、ただ何かに悲しみ、それに耐える一人の人間だった。
少年の知らない父の顔だった。
母にこの事を聞こうとは、考え付かなかった。
だが、少年は翌日父に尋ねた。
――父上、泣いていらっしゃるのですか?
父は大層驚き、眉を顰めた。
少年の頭をそっと撫で、父はゆっくりと首を左右に振った。


「…あなたと同じ目をしていました」

物静かで、でも、どこか悲しげで、儚い……

「…俺は君の父上を知らない」

「でも…」

少年はそう口にすると暫く黙り込み、そうして言った。

「僕には…少し解る気がするんです」

少年はそういうと、「変な話をしてしまってすいません」と男に謝り、テントの中へ入っていった。
男は暫く焚き火の炎を見つめ、今でも愛しい恋人だった人を思い出す。
夜の冷たい風が男の長い金髪を揺らし、ふ、と焚き火が揺れる。

忘れるはずが無い、お前の愛しい姿……
お前が少しでも俺を思い出してくれれば…俺はそれでいい。
お前は、もう一国の王。
妻も、子もいる。
懐かしい、お前の傍にいた頃が……お前に触れていた頃が……

子供の頃、兵学校の頃、騎士として前線に立っていた頃…

だが、俺にはやらなければならない事がある。
やつを、やつだけは、俺がこの手で……
いまや俺はただの旅人。
目的さえ果たせば、またいつもの時間に戻れる。
今こそ試練を乗り越えるべきときなのだ――

「    」

男はぽつりと呟き、夜が明けるまで焚き火を見つめていた。





2008.11.17 (c)rlrl.

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