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memory of children

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『邂逅』

ゲーム本編冒頭の話です。



セシルが飛空艇団を率いてどれほどの時が経ったか。
ミシディアの水のクリスタルを強奪する命令に異を唱えたセシルは部隊長の任を解かれた。
翌日にはミストの村の幻獣討伐の命を任せられたセシルは酷く気を落としていた。
バロン王の謁見室から戻る時、セシルは足を止め、そのまま引き返した。
ある部屋の扉を開くと、窓から外を見下ろす竜騎士の姿を見つけた。

「…セシルか、どうした?」

「いや、その…君を巻き込んでしまって本当にすまないと思ってる。ごめん、カイン……」

「気にするな、また陛下への信用を取り戻せばいい話だ。…今日はもう休んだほうがいい」

セシルは頷き、この日は部屋に戻った。
バロン王の様子がおかしいのは薄々感じていた。
若き頃はバロン王自身も騎士として名を馳せ、王となった今でも民の事を一番に考える優しき王だというのに――

「何故ですか、陛下……」

セシルは夜更けの部屋でただ一人、考えを巡らせるだけだった。



気持ちも考えもまとまらない内に朝がやってきた。
セシルは武器を腰に掲げて部屋を出る、するとカインも丁度姿を現した。

「…行くか、セシル」

「あてにしてるぜ、カイン」

「任せておけ」

口元に笑みを浮かべ、逞しい言葉をセシルにかけるカインが心の支えだった。
城を出ると、なんとも心地よい風が吹いている。
だが、これから幻獣退治に行くセシルにとってはそんな風を感じるほど心は晴れやかではなかった。
ミストの洞窟はバロンから北にある。
夜も休まずに歩けば明日の朝には到着するだろうが、それを止めたのはカインだった。

「そんなに急ぐ必要は無いだろう」

そう言ったカインは武器を置いてテントの中で腰を落ち着けた。
セシルもすっかり暗くなった平原をモンスターがいないか見回してテントの中に入った。
カインはやはり朝から元気の無いセシルにカインは溜息をついた。

「…セシル、憂鬱そうだな」

「…少しだけ」

城では聞けないセシルの本音にカインは「やはりな」と思った。

「…でも、それでも僕は…陛下の命には逆らえない…」

「恩義があるからか?」

「それもある、けど…なんだろう、解らない……」

セシルは俯き、顔を伏せる。
バロン王にセシルは幼い頃より育ててもらい、兵学校にも行かせてくれている。
その恩を仇で返すことになると思っているのだろうか。
だが、最近の王の豹変振りは誰もが疑問に思っている事。中にはそれも王の考えている事だと異を唱える者もいる。
カインも最近の王はおかしいとは思っているが、カインもセシルとは同じ立場だ。王に逆らえばセシルと同じように団長を解任させられるだろう。
しかしこの度の幻獣討伐でカインは腹を括っていた。

「…とりあえず、セシルは眠っておけ。昨日どうせ眠れてないんだろう?俺が外を見張る」

「いや、でもそしたらカインは…?」

「俺なら気にする事はない、昨日しっかり睡眠をとってるからな……明日はなんといっても相手は幻獣だ、気を抜くわけにはいかない」

「…そうだね…少しだけ眠らせてもらうよ」

セシルはそういうと、持っていた荷物を背凭れにして眠り始めた。
眠ったのを確認してからカインは武器を手にしてテントから外に出る。
夜の少し冷たくなった外気温に身を引き締める為に、武器を持つ手に力を入れる。

ミストの洞窟はもう目前だ。
カインは様々な想いを胸に抱きながら、朝が訪れるまでテントの前で腰を下ろしていた。







翌朝、ミストの洞窟に到着するとセシルの後ろを歩いていたカインがふと、足を止めた。
セシルはそれに気付いて振り返る。

「…セシル、今回の任務が終わったら…お前に伝えねばならん事がある」

「え?今じゃ駄目なのかい?」

「…後がいいんだ」

カインの言葉に、セシルは暫くしてから頷いた。
セシルの了承を確認すると、カインは「行くか」と歩みを進める。

ミストの洞窟は少し霧掛かっていた。
視界は霧の濃度によって変わり、出口付近になると急にモンスターの気配も静まっていた。

「…妙な気配を感じる」

「ああ、感じたことの無い気配だ…こっちか?」

視線を向けるのは微かに光が見える程度の洞窟の入り口だった。
濃くなる気配を頼りに出口へ向うと、地響きが起こった。
それを過ぎるとやってきた強大な気配――幻獣が現れた。
白いドラゴンのようだが、その雰囲気はどこか神々しく感じる。

「ミストドラゴンか?!」

だが、威嚇するような気配は感じられない。
ドラゴンが二人に直ちに引き返すように警告するが、そんな意思などない二人は武器を構える。
二人の意思を感じ取ったドラゴンは二人に襲い掛かる。
霧に紛れて己の姿を消し去るミストドラゴンに苦戦するが、やっとの思いでドラゴンを退けると霧が洞窟から消えた。
洞窟を抜けると目の前にはミストの村が見える。
村に到着すると、バロン王から預かったボムの指輪が輝きだした。

「指輪がっ…?!」

赤い光を放つ指輪からボムが何体も飛び出し、村に火を放ち始める。
逃げ惑う村人、焼け落ちる家屋。
――まさか陛下はこの為に僕を…?
セシルは目の前で起こる惨劇を止める事も出来ずに、がっくりと膝を落とした。
カインは舌打ちして武器を握り締める。

自分のしてしまった罪の重さの中に聞こえる小さい子供の泣き声にセシルは顔を上げた。
このミストの村が召喚士の村であるということを知り、今回もバロン王の陰謀だと確信したセシルは遂に心を決めた。
セシルの決意にカインも踏ん切りがついたようだった。

「あの子はどうする?」

「勿論連れて行くさ。…さぁ、ここは危険だ、僕らと一緒に……」

「いやっ!!」

セシルの手を弾いた少女は泣きながらセシルとカインに背を向けて走り出した。

「待って!」

「いやっ!こないで!!…みんな……みんな、大ッ嫌い――!!」

少女がそう叫ぶと、洞窟で感じたような地響きが起こった。
足元が揺れて立てないほどになるとミシッ、と嫌な音を立てて大地が裂け始める。
セシルは傍で倒れている少女の体を抱き寄せる。

「セシルッ!!」

「こっちに来ちゃ駄目だカイン!!もう足場が崩れる!!」

「だがお前はっ…?!」

「僕なら大丈夫だ!この子を守らなきゃならない!君はローザをバロンからっ…!!」

セシルの言葉を遮るように大地が裂け、セシルと少女はその裂け目に落ちていった。

「くそっ…!!」

カインはぐらぐらと揺れる大地を蹴って飛び上がる。
上空から見えるのはミストの村から大地が割れ、陸地の形が変わってしまうほどのものだった。

「これが、召喚士…幻獣の真の力……」

カインは適度な足場を見つけ、そこに向って降下していった。







「うっ…」

セシルが目を覚まし、兜をとって頭を振った。
太陽の光に慣れない目を細め、傍で倒れている少女を抱き上げて近くに見える村まで走った。
村に入ると異様な目つきで村人がセシルを見るが、セシルはそんな事もお構いナシに休めるところを探す。

「あの、どなたかいらっしゃいませんか?」

「はいはい…おや、どうなさったかね?」

「すみません、この子を休ませたいのでベッドをお借りしたいのですが……」

「まぁ、小さい子なのに可哀想に……どうぞ、お使い下さい」

ありがとうございます、とセシルは少女を手前のベッドにそっと寝かせて椅子に腰掛けて少女の顔を見つめる。
その間も自責の念がセシルの心と頭を支配する。
ベッドの上で両手を組み、顔を俯ける。
村を焼かれる召喚士の人々の嘆きの声、崩れ落ちる家屋の音。
耳に残る悲鳴。いくら頭を振ってもこびりついていて振り払えない。
――セシルッ!!

「カイン…」

セシルは最後まで自分の名を呼んでいたカインの事を思い出した。
カインは無事だろうか?自分は途中で落ちたから、あれからどうなったか解らない。

セシルは両手をぎゅっと握り締め、目を固く閉じた。

目の前で眠る少女。
バロンに残されたローザ。
生き別れたカイン。
疑惑だらけのバロン王。

考えたくも無い考えばかりが浮かび、セシルの眉間に皺が寄る。


まだセシルは知らない。
今よりももっと過酷な運命が待ち受けているなど――そう、誰も知らない。







2008.11.22 (c)rlrl.

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