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memory of children

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春の日

FFIVとFFIV TAの境い目の話。





うららかな春の陽気。
セシルは執務室で書きかけの書類のすぐ手前でペンを握ったままぼんやりと窓の外を眺めていた。
ふわりと暖かい風が入り込み、セシルの銀色の髪が緩やかに風に乗って靡く。

「(…カイン、何してるかなぁ……)」

考える事のはそんな事ばかり。
今自分がこうしてる間もきっと、カインは己の腕に磨きを掛けている事なのだろう。
そう思うと、仕事中に不謹慎な自分の頭を左右に振る。
すると、こんこん、と控え目に扉をノックする音が聞こえ、セシルが「どうぞ」と言うと扉が開いた。

「ごめんなさいセシル、この子がどうしてもって……」

ローザが幼子を腕に抱いて部屋に足を踏み入れてきた。
セシルはにこ、と笑みを浮かべて席を立った。
彼女の腕に抱かれている幼子は、セシルを見た途端に腕を伸ばしてきた。
ローザがそっと幼子をセシルの腕に渡してやる。

「いいよローザ、君は休んでて」

「でもセシル…」

「大丈夫。君にこの子を預けっぱなしだから、たまには僕も協力しないと」

セシルが笑って言うと、ローザは「じゃあ、お願いね」と言って部屋を出て行った。
ローザを見送り、セシルは腕の中にいる幼子に笑みを向ける。

「…どうしたんだい?母さんの方が落ち着くだろう?」

セシルは我が子の小さな背中を軽く叩きながらそう尋ねる。
だが、答えるわけも無くセシルの顔をじっと見ているだけだった。

「…まだまだ先の話だけど…君は大きくなったら何になるのかな?」

未だにじっとセシルの顔を見つめる我が子に語りかけるセシル。
彼女と同じ瞳の色を見つめ、また笑みを浮かべる。
我が子を抱き直し、椅子から立ち上がって微かに開いた窓からバロン城下を見下ろす。

僕は今まで、誰かにこうやって抱き締められた事があるのだろうか?
幼い頃に、誰かにこうやって優しく背中を叩いてもらえたのだろうか?
誰かに”愛おしい”と、思ってもらえたのだろうか?
僕には今、家族がいる。
そして国を支える責任もある。
幸せなのに、何故こんなに寂しく思うのだろう。
執務中にぼんやりするのも、夜に眠れないのも………
全部解ってるんだ。

――僕が欲しい温もりは、ここにはない。

セシルは小さい我が子を抱き締め、頭を撫でる。

「…今日も暖かいね、セオドア…」

我が子の名を呼んでそう呟くと、セオドアも顔を上げてうとうとしている眼を擦りながら首を傾げていた。



2008.12.11 (c)rlrl.

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