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memory of children

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廻る星

幼少期、青年期のカイセシで流れ星の話。





Twinkle, twinkle, little star,

How I wonder what you are...



バロンでは、二つの月を廻る星が数百年に1度見られる。
だが、天文学的な数字では、はっきり立証されていない。
それほどまでに悠久の時間を、誰もおぼえてはいない、と。

でもね、

大人になっても、空を見上げていられるようになりたいだ。



「セシル様、そろそろ陽が落ちますわ」

「はい」

小さな子供が一人、バロン城の庭で黄色い蒲公英を指先で突いていた。
ふわりと銀色のウェーブした髪が揺れる。
セシルは城のメイドに手を引かれて薄暗くなってきた外の世界を後にした。

その夜、彼は夕食後に養父である城の主にお願い事をしていた。

「陛下、お願いがあるんです」

「どうしたセシル?その様な事を言うとは珍しいな」

「今夜…お庭に出るお許しが欲しいのです」

「庭に?何故かな?」

「今夜お月様を廻るお星様が流れるんです、それで…」

「ふむ、しかしな…夜になると危険が増えるからな…庭に出ることは賛成出来ん」

やはり真夜中の外出は以前にも言われたように禁止されてしまったセシルは、今夜自室で星を待つ事にした。
冷たい石段を今夜は早足で駆け上がり、部屋の扉を開ける。
いそいそとベッドにのぼって閉められたカーテンを開けてその瞬間を待った。
いつまでも――









――それから数年経った。
セシルは後ろで一纏めにした腰まで長くなった銀髪をゆらゆらと揺らしながらふと、学校の帰り道で空を見上げた。
二つの白い月を見上げる。
それは、まるでお互い寄り沿うようにしている。

「(…やっぱり、見間違いなんかじゃない。月が近付いてる……)」

セシルはそう確信すると、見上げていた顔を下ろして目の前に続く道を再び歩き始めた。



その夜、セシルは部屋の窓から二つの月を見ていた。

「…おい、月の監視なんかして楽しいか?」

「カインこそ、僕の見張りなんかしてて楽しいのかい?」

「お前、今日出た課題が俺とペアなの忘れてないだろうな?」

「あれ?そうだったっけ?」

「……本運ぶの手伝うのやめようかな」

「嘘だよウソ!ちょっと、気になることがあっただけだから。ほら!書庫閉まるよ!せっかく陛下にお願いして開館時間延長してもらったんだから!」

「おまっ…話逸らしたのはお前じゃねーか!!」

セシルは部屋から出ると、石階段を一気に駆け下りて隣の塔にある書庫まで走っていった。
書庫はまだ辛うじて開いていたが、時間はあまりないようだ。
課題に必要な本や資料を集めてカインと半分ずつ本を運んで、部屋へと戻る。
道中「俺の方が本が多い気がする」、などと訴えてきたカインに笑顔で「そんな事無いよ」と言うセシルがふと、月を見上げる。

「あっ!!」

バサッ、と本を落としてセシルが夜空を見上げて声を上げた。

「な、なんだよこんな時間にお前そんな大声……」

「カインあれ!」

セシルが指差す方向を見上げると、二つの月の前を飛び去った明るい星。
それを二人が呆然と見つめ、星がすっかり飛び去ってから数分後、やっとお互いの顔を見合わせた。

「…見た?今の…」

「……見た、ばっちり」

「す…すごい!数百年に1度って言われてるのに!まだ前回から十数年しか経ってないんだよ?!」

「でも噂だろ?星の周期なんか解らない事だらけなんだから…」

「で、でも凄いよ!天文学的な数値だろうと噂だろうと見れたことが凄いんだから!!ね!カインもそう思うよね?ね?!」

「……そ、そだな…」

「だよねー!!」

と、セシルは未だ興奮しているのか、顔を赤くしながら本も拾わずに部屋へと戻っていった。
カインはやれやれと肩を落としながら、セシルが落とした本を自分が抱えている本に積み重ねて再び歩みを始めた。








真夜中。
セシルは数百年に1度の噂を信じてその瞬間を待っていたが……星を待つどころか、ベッドですっかり寝入ってしまった。
その頃のカインは――

「お!すげぇ!本当に月の目の前を流れていった!」

まだ幼いカインは父の言いつけを破ってまで星を見に来ていた。
とは言っても、部屋の窓のすぐ外なのだが…
セシルが昼間、あれだけ熱心に今夜の事を話しているからどんなものかとカインも見たくなってしまった。

「こらカインッ!!こんな時間に何をやっているんだ!!」

「うわっ?!ごめんなさーい!!」

その星とやらを見てつい興奮してしまい、声を上げてしまってリチャードに見つかってしまったカインはそそくさと部屋の窓から室内に戻って頭まで布団を被った。
だが興奮冷めやらぬままちらりと二つの月を見る為に布団から頭を出し、暫く夜空を眺めていた。
また、あんな星が自分の目の前で飛んでいかないかと期待しながら。





「(…次も、あいつと見れれば良いな…)」

カインは本を部屋に運ぶ足を止めずにそんな事を考えた。





普通ではありませんが、バロンではこんな流れ星が流れるよ、という話です。
光のように瞬きながら二つの月の真ん前を飛び去る彗星。
その星は月とまた廻り会う為に何百年もかけてこの星を流れるの、だと。
2009.01.17 (c)rlrl.

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