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memory of children

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何度でも伝えたい、愛の言葉

カイセシ(FFIV)でバレンタインです。





「カイン、久し振り」

「え?あ…お前かセシル。解らなかったよ」

久方振りに会ったセシルは、学生時代の時のように、長かった髪をばっさりと切っていた。
こんな季節に、見ている方が寒くなるうなじが目に入る。
カインは調度遠征から戻って来たばかりで、部隊の部下と武器や荷物を片付けていた。

「全員、三時間後までに報告書纏めとけよ」

「えっー?!そりゃないですよ隊長ー!!」

周囲からブーイングが飛んでくる。
カインは眉間を押しながら部下の情けない声に頭を抱える。
セシルはくすっと笑いながら仲睦まじい竜騎士団の様子を見ていた。

「みんな疲れてるんだから、明日でも良いんじゃない?カインだって疲れた頭でこれだけの人数の報告書読めないでしょ?」

「お前は全く……明日の昼までに報告書出せよ!時間厳守!!」

カインが折れてそう言うと、「さすがセシルさん!」という声が飛び交って、一気にテンションが上がる竜騎士団面々。
さっさと武器や荷物を持って兵舎に戻って行った。

「……全く、お前は変わらないな」

「そうかな?僕だったら遠征に戻ってきたら陛下にご報告して、すぐ部屋で寝るけどね」

「…まぁ、それもそうだな」

「くたくたで帰って来てるのに、その頭で部下全員の報告書に目を通すなんて無理だよ。休める時にはしっかり休まないと」

ごもっともなセシルの言葉にカインは己の武器を肩に担いで頷く。
確かに今この状態では眠くて仕事どころではないだろう。

「それじゃ、僕は訓練所に戻るよ」

またね、とにっこり笑ってカインに手を振ってすぐ目の前に見えている訓練所に向かおうとするセシルを呼び止めた。

「…セシル」

「なに?」

「…風邪、ひくなよ」

「そっちこそ。お疲れ様、カイン」

いつもと同じセシルの笑顔。
それを見れただけで少しだけカインの疲れがとれたように思えた。
カインはその足で、バロン王の元へ帰還の挨拶と報告に向かった。



その日の晩。
カインはセシルを城下町に誘った。
久し振りに二人で話したい事もあると伝えれば、セシルは快諾してくれた。
約束の時間間際にセシルが現れた。
幻かと思っていたセシルの髪型も、昼間となに一つ変わってはいない、短いままで少しだけ肩を落とした。
適当なカフェに入ってコーヒーを飲みながらお互いに最近の事を話し始める。
カインは遠征に行っていたから、話はそれしかないが、逆にセシルは城での話や自分の部隊の話や、プライベートな話もしてくれた。
そんな中、カインがセシルの話が一段落した所で声をかけた。

「…忙しそうだな、話を聞いているだけでは」

「やっぱり部隊を引き連れて任務を遂行するのは難しいからね、早く慣れなきゃ」

と、セシルが話す。
セシルより先に隊長になったカインにもその苦労はよく解っていた。
まぁ、気長にやれよ。と言ったカインに、セシルはちらりと視線を向けた。

「……あのさ、カイン」

「なんだ?」

「……カインてさ、甘いもの…好きじゃなかったよね?」

「え?あー…まぁ、物に因るけど」

「じゃあ、14日あげるからね」

そう言うセシルに、カインは眉間に皺を寄せてセシルの方を向いた。
難しい顔をしているカインに、セシルは「どうかした?」と尋ねた。

「…14日?」

「そうだよ、もしかして遠征だったとか?」

「いや、そうじゃなくて…何かあるのか?」

「何かって、バレンタインでしょ?カインってばそこまで鈍感だったの?」

バレンタイン。
そんな単語がセシルから出て来るとは思わなかったカインは、少しだけ面喰らってしまった。
渡された事はあるが、受け取った事はないカインは「そういえば、そうだった」と心の中で呟いた。

「なんだ、くれるのか?」

「なんだ、要らないの?」

「そうは言ってない!あ、いや…その…」

勢いでつい声を荒げてしまったカインは、咳ばらいを一つしてこちらに視線を向ける周囲と目を合わさないように努めた。

「さすがに手作りは無理だから、市販になっちゃうけど…そこはごめんね」

「いや、謝らなくてもいい。俺は、その……お前に貰うという事に意義があるというのか…」

内心セシルに貰えると言うだけでテンションが上がっているカインは、それを悟られないように普段通りにしているつもりだが、それを意識すればするほど、言葉が詰まって切れ切れになってしまう。
しかし、セシルはそんなカインの言葉に嬉しくなった。

「本当に?カインがそう言うなら嬉しいなぁ…じゃあ、当日までに用意しとくから!」



それから何日経っただろうか、その日カインは自宅の片付けをしていた。
久方振りに戻ってきた実家は昔のまま残っている。
自分や、リチャードが置きっぱなしにしていた本などを決められた場所に戻し、窓を開けて空気の入れ替えをした。
暫く読んでいなかった読みかけの本を引っ張り出してリビングにある家族テーブルでそれを読んでいると、控え目なノック音が聞こえて扉を開けた。

「…ここにいたんだ」

「ああ、すまない…入れよ」

寒そうに微かに頬を赤らめているセシルを招き入れ、コーヒーをいれてやる。
ありがとう、と言うセシルの真向かいに再び腰を下ろしたカインは、読んでいた本に栞を挟んで閉じた。

「…ここ、久しぶりだね」

「親父が死んでから、か…たまには掃除しないと、親父が怒るからな」

苦笑いを浮かべるカインに、セシルもにこ、と笑った。

「あちこち捜したよ。竜騎士団に行って聞いても”団長は本日お休みですから”ってさ。」

「悪いな」

「今度からは声掛けてね、変に心配しちゃうから。」

セシルの言葉に、カインが本の背表紙を見ていた視線がセシルに向いた。

「…リチャードさんみたいに、消えてしまうんじゃないかって…たまに思うんだ」

「………」

「あ、そうだ」

と、セシルがカインに差し出したのは綺麗にラッピングされた可愛らしい箱。
包装紙に貼られたシールを見て、カインはふ、と笑みをこぼした。
カインは貰ったそれをテーブルに置いてセシルを手招きして自分の隣に座らせる。

「…で?甘い物が得意ではない俺の為に何にしたんだ?」

「ブランデー入り」

「なるほどな…お前も貰ったんだろ?今日。」

「ローザから手作りだよ。食べる?」

「いらねぇ。つか食えねーし」

「うわ、竜騎士団団長がそんな言葉遣いでいいのー?」

「いーんだよ、今は竜騎士団団長じゃないから」

カインはセシルから貰ったブランデー入りのチョコを食べながら、セシルの体を抱き寄せて耳元で囁く。

「お前の恋人だから」

「カイン、なに急に…うわっ?!」

そう囁いてからカインはそのままセシルのこめかみやうなじに何度もキスした。

「カインくすぐったい~!」

「うるさい我慢しろ」

くすぐったくて笑い出したセシルにそう言うと、そのままぐったりとセシルに抱き着いてきた。

「…あれ?カイン?」

セシルがぐい、と軽くカインの後ろ髪を引っ張るがカインは動かない。
一口だけ食べられてしまったチョコの箱の成分表を見る。

「(うわ、アルコール度数すごい高い…!!ごめんカイン、買うチョコ間違えたみたい……)」

女の子に混じって買ったものだから、そこまで注意深く見る余裕がなかった。

「…ま、いっか…」

寝ちゃってるし、と続けてセシルが小さく呟いた。
セシルは起こさないようにそっとカインの頭を寝やすいように移動させ、ローザからもらったチョコを開いて食べ始めた。



























「はいカイン、義理クッキー」

「義理を主張するなっての…ありがと」

「甘いのが苦手なカインには紅茶の葉を混ぜたクッキーにしたの。…それで、バレンタインにセシルとは少しでも進展したのかしら?」

「…なんでお前に報告しなきゃならないんだ」

「あら、大切な幼なじみの恋路を心配しちゃいけないのかしら?」

「……別に…なにも」

「せっかく二人きりになれたのに、そのチャンスを棒に振ったの?私はてっきり進展し過ぎて惚気られるとばかり思って、とっておきの白魔法を用意してたのに…残念だわ」

ホーリーを笑顔で唱えて放つその生々しい想像に、カインは胃が痛くなりそうだった。

「(大体、寝てたのに進展もクソもあるかよ……)」

カインがそう呟いたのを、幸運にもローザの耳には届いていなかったようだ。



2009.02.13(c)rlrl.

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