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memory of children

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我慢しないで、泣けば良いさ。

お題小説消化(その4)。
これで全て消化しました。




「ねぇミコト」

「何かしら、クジャ」

今日も黒魔道士の村は快晴。
黒魔道士の子供達やジェノムの仲間は外を駆け回っている。

「ジタンって、本当に変わっているよね」

「…私からすれば、あなたも十分変わってるわ」

「僕はね…たまにわからなくなるんだよ、自分のことや…ジタンのことが」

「…彼は特別だわ。私の考えじゃ、到底想像できないことをしてしまう人…あなたもそう。私達は考えることは出来るけど、あなたたちのように自由な発想ができない。
…結局、私達はガーランドが造りだした人形のままなのかしら……」

感情というのは、発想というのは。
悲しんだり、笑ったり、悔しがったり怒ったり。
発想はそれに伴ってくるものなのだ。

「…ミコト、窓の外をごらんよ」

「…?」

クジャに促されるようにミコトは家事の手を休め、窓の外を見つめる。

「君にも見えるだろう?楽しげに笑う仲間達や彼の子供達の走る足音が」

ぱたぱたと小さな足音が村中に響く。
笑い声はそれに伴ってついてくる。
毎日飽きずにおいかけっこやかくれんぼに興じる子供達。
ミコトはこの村にジェノムたちや自分を導いた兄の顔を思い出した。

「…ジタンが私達を導いてくれたわ」

「…そうだよ。あのままテラにいたら、こんな光景は見れなかった。…君も、そうやってキッチンに立って毎日食事の準備や大好きな本を読むこともなく、テラを徘徊するだけの器のままだった」

「…そうね…」

「…僕だって、あのまま死ぬ筈だった。イーファの樹で、何もかも失ってしまった僕に、生きていてどんな価値があるのかって…でも、価値なんて必要ないんだ」

ただ、生きるだけ。

「まさか、ジタンが僕を助けにわざわざイーファの樹まで来るなんて思いもしなかったけど…全く、彼は僕の計算どおりにいかないよ」

いつも予想外の行動をする彼を、本当は待っていたのかもしれない。
考えていなくても、そんな小さな期待が何処かに…あったのかもしれない。

「僕はもうすぐ死ぬけど…それでも、今こうしていることに後悔はないよ」

「…偶然ね」

「ん?」

「私も…そう思っているわ」

ミコトはクジャに青い瞳を向けてそう一言もらし、再びキッチンに身体を向けて、包丁をリズムよく動かした。


血も涙もない奴ッ!!
なんて、君は僕にそう言っていたよね。
そうなのかもしれない。
でも、僕は死ぬと告げられた時はとても怖かった。
生きていたかった。その暴走がテラを破壊して、このガイヤも破壊しようとしていた。
でも僕にはそんな事は出来なかった。
僕が死ぬと思った直後に君たちが…愛しくなった。
だからイーファの樹から脱出させた。

でもジタンが助けに来てくれた。
「誰かを助けるのに理由がいるかい?」
今でも僕はよく覚えているよ。
そう、君はそういう奴なんだった、とすっかり忘れていたよ。
なんて馬鹿な奴だと思った矢先に、涙が出てきた。
生きること、死ぬこと。
もしかしたら両方とも恐ろしいものなのかもしれない。
生きることが恐ろしい、死ぬことが恐ろしい。
僕はそれを思うととても悲しくなった。


『なんだよ…お前、泣いてるのか?』

『本当に君は失礼だね…こういうのは見るものではないよ…』

『…まぁ、誰だって泣きたい時はあるさ。今のうちに泣いときゃいいだろ、どーせオレしかいないんだし』

本当に、わからないよ、君が。

『…泣いてるのは、生きてる証拠だ』

そんなのは生きてる証明にはならない。
でも、ジタンはそう言っていた。
僕は君を見下していた。
魔法も使えないバカだと。
でも、本当は優秀で完璧に造られたジタンに見下されるのが怖かった。
ジタンはそんな奴じゃないのに。僕がバカだったのだろう。

「…ミコト、君は泣いたことはある?」

「…難しい質問ね…ジェノムの私達にとって、涙なんて言う不確定な代物は……でも」

「…なに?」

「あなたやジタンがいなくなっちゃったら…涙が出てくるかもしれないわ」

ミコトは背を向けたまま、スープの仕込みを終えた大きな鍋に蓋をして火を弱めた。
クジャは頬杖ついたまま、微笑を浮かべた。

「…いい天気だね、とても」

クジャは空の青さに青い瞳を細めて言った。

「…善い日だね…」


それは、あの日から数年経った頃の話。











『貴方のために5つのお題』
涙を流す

2008.07.28 (c)rlrl.

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