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memory of children

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想えば想うほど苦しくなる

ウォフリ前提のセシ+フリ。セシルはいつだって相談役。



空を見る。
――ああ、お前は今日も変わらないな。

変わらない空を、変わろうとしない俺という存在が見上げていた。





「ちくしょー!クリスタル見つかんねーッス!」

今日も今日とてクリスタルを探す一日が始まった。
いつも朗らかな笑顔を浮かべるセシルと、仲間に的確なアドバイスをたまに与えてくれるクラウドと、クリスタル探しに一番力を入れているティーダと。
そして、自分自身。
今日も何も変わらない。

「…フリオニール、元気ないね?どうかした?」

「え?」

「今日は一言も喋ってないな」

と、セシルとクラウドに鋭いツッコミを入れられた。大人はどうしていつもこう鋭いのか。

「いや、少し考え事をしていただけだ」

「本当かい?君はすぐに無茶をするから…どこか体調が悪かったりするんじゃないのか?」

「倒れられたらそれもそれで大事だからな。…おい、少し休むぞ」

クラウドが瓦礫を投げ飛ばしてクリスタルが落ちてないか探しているティーダに声を掛ける。
そういうわけじゃないんだけどなぁ…なんて、今更言い出せないフリオニールを他所に既に休憩モードに入っている仲間の輪の中にセシルが引っ張り込んだ。

「…クリスタルが瓦礫の下にでも埋まってると思ってるのか?」

「そうじゃねーけど…いや、もしかしたら、なーんて事もあるかもしれないじゃないッスか!」

「災害で崩れた家の下から荷物引っ張り出すってレベルじゃないんだぞ…」

はぁ、とため息をつくクラウドに「わかんねーじゃんかー!」とティーダが反論する。
そんな二人の様子を見つつ、フリオニールの事もちゃんと気に掛けているセシルは大人の笑みでそれを見守っていた。



結局本日も収穫ナシで一日が終わろうとしている。
四人で天幕を張ってから食事を済ませて数時間は経とうとしている。
歩き疲れたのか、はたまた瓦礫を動かすのに体力の大部分を使ってしまったのかは定かではないが、既にティーダは外ででも大の字に寝転がっていつの間にか眠っていた。
「風邪ひいちゃうよ」とセシルがわざわざ天幕の中までティーダを引き摺りながら入れてやる光景は、「小さな子供の世話をする父親」のようだったとクラウドが言っていた。

「フリオニール」

「…あ、ああ、なんだ?」

「休まないのか」

背後からクラウドに声を掛けられ、フリオニールはあぁと短く返した。

「…まだ武器の手入れが終わっていないんだ、先にセシルと休んでてくれ。俺もすぐに行くから」

「…遅くまで起きてるのは良くないからな」

「ああ、わかってる」

にこ、と猫のような吊り目が笑うのを見たクラウドは「お先に」と一言だけ言って天幕の中へ入っていった。



それからどれくらい経っただろうか、フリオニールは武器の手入れが終わった後も焚火の前に座り込んでいた。
目の前で燃え盛る赤い炎が揺れているのを琥珀色の瞳が見つめていた。

「早く寝なきゃ駄目だよ」

と、背後から声を掛けてきたのは眠っている筈のセシルだった。

「セシル…寝ているとばかり…」

「君がなかなか天幕に来ないから心配になってね。…今日は元気がないみたいだし」

そう指摘されると、フリオニールは少しため息をついてバンダナを巻いたままの頭をかいた。
頭を動かす度にバンダナの飾り同士がぶつかり合ってまるで鈴のように小さな音をたてる。

「…不謹慎な話かもしれないけれど…」

「うん?」

フリオニールがそう切り出すと、セシルは少し顔を上げてちらりと紫色の瞳をフリオニールへと向けた。

「俺達は世界の為、平和の為にコスモスによって集められた。クリスタルを探し、それが勝利へと導いた時…俺達は元いた世界に帰される。……俺はたまに、”そんな日が訪れなければ”と思っている。
帰ったら、もう皆とは会えなくなる」

所詮は会う筈もなかった戦士たち。
それは戦いが終われば全て元に戻るだけなのに、フリオニールはそれが少し嫌だった。

「クリスタルなんて、要らないとさえ思っていた事もあった。……最低だ、俺は」

そう言って、顔を伏せるフリオニールにセシルは視線を外して焚火を見つめた。

「…そんな事はないよ」

セシルが暫くしてから、そう口にした。

「僕も皆といるのは楽しい。楽しい時間がずっと続けばいいのに、って思う時もある。クリスタルを探し当てるという責任感と、辛い事から逃げてしまいたい臆病な心と、楽しい時間をずっと皆と共有していたいという希望の心…それはきっと皆あるんじゃないかな?」

セシルは優しく語りかける。
--きっと、皆もそう思っている。
だが、運命には逆らえない。始まりと終わりが存在するように。

「…フリオニールには、別れたくない誰かがいるのかな?」

「っ…!」

セシルの問い掛けに、フリオニールがぎくりと肩を震わせた。
セシルは「そっか」と納得したように呟く。

「それじゃ、離れたくないよね」

セシルがそう呟くように言ってから、お互い言葉を交わさない時間が続いた。
聞こえるのは焚火の弾けるような小さな音だけだった。

「…いいんだ」

「フリオニール…?」

フリオニールは温かな火を見つめながら、微かに口元に笑みを浮かべていた。

「実りはしない、俺のちっぽけな心だ」

「そんな事ないよ、どんなに小さな気持ちでも…それは気付かない内にどんどん大きくなるんだよ?…実らないと決め付けたら、後がとても悲しくなる……」

「…でも、俺のただの気迷い事かもしれない。…セシル、ありがとう」

フリオニールが無理矢理話を切り上げて天幕の方へと向かって行った。

気迷い事だと、決め付けてしまう自分。
なんて虚しい事だろうか。
恋の経験等皆無に等しい自分が、初めて追い掛ける後ろ姿は--俺には到底追い付く事が出来ないだろう。
好きだ、と言ってしまったら、きっと今の関係は脆く崩れ去ってしまう。
--それが一番怖い。
ならば、そんな気持ちは隠してしまえばいいのだ。
この旅が終われば、きっと忘れる事が出来る。
--自分の世界に帰れば、もう会う事はないのだから。

言葉で紡ぐ事も行動に起こす事も出来ない臆病な俺は…やはり変わろうとはしない。
まるで他人事だ。
--自分の心の問題なのに。
変わってしまうのが、単に怖いだけで…変わらなくて良いと思っている。

「(もう、それでいいじゃないか--)」

フリオニールは眠れないのに無理矢理両目を閉じた。
僅かに息づく恋心を胸の奥深くに埋めてしまいながら。





変わらないもので5つのお題
『存在』

2009.04.30 (c)rlrl.

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