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memory of children

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愛の言葉を、そっと囁こう。

ウォフリなので注意して下さい。(少しだけクラウドやティーダ、セシルも出ます)
ウォフリを書く時のBGMは「Fly me to the Moon」宇多田ヒカルverをかけてます。
大人っぽい雰囲気が凄く好きです。
6月の劇場版「破」楽しみです!




『考えていても仕方がない。考えただけで何かが動くわけでもないのだから』

誰かが、前にそう言っていた気がする。
……気がする?
戦う事以外、それこそ己の名さえ忘れてしまっているというのに。



旅の最中、一人で行動していた彼、皆は『光の戦士』と呼んでいる。
ウォーリア・オブ・ライトはクラウド達の集団と鉢合わせした。
つい先程巡り会ったスコールとはそれほど時間は経っていない。
これは偶然か、必然なのか、それは神のみぞ知るとはよく言ったものだ。

「あれ?ライトは一人で旅してるッスか?」

一番に開口したのはこの中で一番年下のティーダだった。
ウォーリア・オブ・ライト、とは言っても長すぎるので皆はティーダのように短く呼んでいる。
当の本人もそれを暗黙の了解のようにしているようだった。

「せっかく会えたんだし、ライトも今日は僕たちと一緒に行動しないかい?もう陽も随分傾いてきているし」

「構わない」

「じゃあ今日の火の番の順番決めるッス!後出しは駄目ッスからねー!」

元気のいい太陽のような少年、月のように優しい笑みを浮かべる騎士、それを優しく見ている兵士、そして笑うとまるで少年のような逞しい義士。
仲間とは、こういうものか--。
光輝く美しい勇者は目の前の光景を見て、そう思った。

結局本日は、ティーダ、セシル、クラウド、ライト、フリオニールの順番で火の番をする事になった。
天幕を二つ張り、一つ目がクラウドとセシルとティーダ、もう一つがフリオニールとライトの組み合わせで決まった。
時間の流れがあるのかは解らないこの世界--いや、空間は穏やかな空気、緩やかに流れる水のせせらぎ。間違いなくコスモスの領域なのだろう。いつもの張り詰めた空気はなく、体に入り込む空気は清浄だ。
陽がなくとも、既に夜が訪れているのが微かにだが感じ取れる。
ふと、天幕を張る手伝いをしていたウォーリア・オブ・ライトが何かに気付いた。
視線を逸らす彼に気付いたのは一緒に手伝っていたクラウドだった。

「…何か気になるか?」

「いや、セシルとティーダの輝きが前とは違うように感じる」

彼には他の仲間が解らない事が感じ取れるようだった。

「ああ…セシルとティーダはクリスタルを手に入れたからだろう」

「…そうか」

ウォーリア・オブ・ライトの声は平淡で変わらなかったが、微かに違って聞こえた。
それこそ、どこか安心したように。

「あんたには」

クラウドが作業を続けながら口を開いた。

「…解るのか、誰がどんな輝きを身に纏っているのか」

「誰にでも光は持っている。胸の内の輝きは決して消えはしない。…君の輝きも、以前とは少しながら変わったようだな」

共に連れ添う仲間達の影響か、クラウドも変わった、と彼は言っているのだろう。

「…クリスタルを手に入れたら、俺も何かしら変わるのか…」

クラウドは作業を続けながらそう小さく呟いた。
ウォーリア・オブ・ライトは片膝を立てて座った状態で手を止めた。

「何事にもきっかけというものは必要だ。だが、それはクリスタルに限った事だけではない。…クリスタルはそのきっかけの内の一つだった、という事だろう。良い変化ならば私は何も言う事はない」

淡々とそう話すウォーリア・オブ・ライトにクラウドは初めてしっかりと視線を向けた。

「…あんたも変わりたいと思っているのか?」

「……難しい質問だ、だが…私にも何かしらのきっかけがあれば…可能性は生まれてくるのかもしれない」

「変わりたいと思うのはきっかけなんかじゃない。あんた自身の心だ。…あんたにどんな願いがあるかまでは聞かないけど。あくまでもあんたのプライバシーだからな」

「…そうだな」

心に燻る”感情”。
戦いしか知らないウォーリア・オブ・ライトの中で芽生え、成長し続けている。
だが、この感情がなんなのかが解らない。一つ解るのは、今まで感じた事のない--なんと表現すべきなのか、その言葉すら見つからない。
ただ、胸を締め付けられるような思い、ちくりと刺すような痛み。それだけだった。
体に負う傷とは、また違った種類の痛み。

「…さっきから良くない顔をしているな」

「…そうかもしれないな」

「あんたでも、眉間に皺が寄る時もあるんだな」

クラウドに取り繕う嘘が見つからない。
元々”嘘をつく”という事をしないせいか、嘘を考えると頭が考えられなくなってしまう。

「…あんた一人が抱え込む事は、何もないと思うが」

「…どう言葉にしていいのか、それすら解らないのだ。こんな不安定な気持ちは…初めてだ」

本人に解らない事が他人に解る筈はない。クラウドもそれは同じだった。
目の前にある、感じた事も触れた事もないものに接するのは確かに不安で恐怖すら感じるかもしれない。

「…考えたって、浮かばない事はある」

クラウドはそう言って立ち上がった。

「なら、心に従えばいい。それが解決への糸口になる時だってあるからな」

それだけ言い、天幕から離れていった。
ひとり残されたウォーリア・オブ・ライトもやや遅れて立ち上がり、己の胸に手を当てた。

「(心に、従う--か)」

あまり経験のない事を言われたが、今頼れるのは確かに自分の心だけだった。





やがて夜の帳が降り、夜行性以外の生き物達は眠りに就く時間になっていた。
火の番も適度な時間で交代し合っていた。
いつも浅い眠りにしか就かないウォーリア・オブ・ライトは火の番をしていた。
じっと赤く燃え上がる炎を見つめながら、神経を研ぎ澄まして周囲の気配を伺う。
むしろ起きている方がいい。
考え事をしている時は、ロクに眠れないのは彼も同じだった。
--このまま朝までいてもいいかもしれないな。
そう頭の隅で考えていた時、ウォーリア・オブ・ライトは剣の柄をぐっと握り締めて振り返る。
背後から近づいてきたのは、多くの武器を携えて来たフリオニールだった。

「代わるよ、見張り」

「まだ交代する時間ではない」

「目が覚めて眠れなくなったんだ。貴方もちゃんと休んだ方がいい」

「…ならば、そうさせてもらおう」

フリオニールの念を押すような言葉にすっとその場から立ち上がる。
だが、どうせ天幕に戻っても眠れはしないだろう。とウォーリア・オブ・ライトは思っていた。
立ち去ろうと背を向けたウォーリア・オブ・ライトに、フリオニールは「あ」と短く声をかけた。

「どうした?」

「あ、いや…俺達は明日西へ向かうんだ。貴方は…どうなのかなって…」

「私は南へ向かっている所だ」

なら、とフリオニールは何かを取り出した。

「一人旅じゃなかなか見つからないと思って」

フリオニールがウォーリア・オブ・ライトに差し出したのはポーションといくつかの素材だった。
確かに一人では誰かと分担してアイテムを集める、という事が出来ない。
フリオニールの申し出は確かに有り難かったが--

「君達が見つけたものを、私が受け取る訳にはいかない。いつ必要になるか解らない」

「これは俺の独断じゃない。ちゃんと皆からの了承はもらっているから大丈夫」

「しかし--」

「いつ必要になるか解らない、だろ?…貴方に何か遭っても、離れていては駆け付ける事ができない。だから…持ってて欲しいんだ」

頼む、とフリオニールが言うと、ウォーリア・オブ・ライトは暫くしてからフリオニールの手にあるポーションに手を伸ばした。
ようやくフリオニールの言葉に納得してポーションと素材を受け取ったのを見て、安心したように笑みを零した。

「…君に聞きたい事があるのだが」

「え?俺で解ることなら…」

急にそんな事を言われ、フリオニールは少し驚いた表情だった。

「君は…誰かを想い、そのせいで胸が苦しくなる事はあるか?」

「え?!いや、それは……」

あまりにも突然な質問に、フリオニールは戸惑っていた。
どう答えようか迷っているフリオニールの顔を見つめ、少しだけ目を細めた。
下らない事を訊いてしまった、とウォーリア・オブ・ライトが言葉を掛ける前にフリオニールが口を開いた。

「俺にはまだないけど…いつか、そんな相手がいれば、とは思ってる。……どういう感じなんだ?胸が苦しくなって…辛いのか?」

「…不思議と、不快ではない」

「そうか…きっと、それはとても良いことなんだと思う。だから、大切にした方が良い。でもその胸の内を明かすなら…」

「…なら?」

「…俺は、いつでも貴方の味方だから」

「………」

「色々な事が目まぐるしく起こって、恋をする事も忘れてる俺で頼りないだろうけど……心の変化っていうのは良い事だって、貴方がよく言っているじゃないか。
…だから、その…今は不謹慎だって誰もが言うかもしれないけど…俺はそんな事は思わない。貴方だって人間なんだから、戦い以外の記憶を頭に残してもいいんじゃないか?」

時々言葉が見つからないのか、口篭るフリオニールの一生懸命な言葉。
その一つ一つが、彼には嬉しかった。

「…そうか、ありがとう」

「い、いや…俺は何も…」

「いや、少しは…心の整理というものが出来そうだ。…すまないが、この場を頼んで良いだろうか?」

「もちろん」

「…おやすみ、フリオニール」

ウォーリア・オブ・ライトが誰もいない天幕に戻って僅かな時間しかない休息をとる事にした。
兜や鎧を外し、インナーだけになる。
狭い天幕。すぐ傍に視線を向ければ、フリオニールの荷物が隅の方へ置いてあった。
彼から受け取ったポーションや素材をウォーリア・オブ・ライトは傍に置いて横になった。

『俺は、いつでも貴方の味方だから』

フリオニールのそんな言葉に、胸が更に重くなった。
目の前に籠手や皮手袋を取り去った己の右手を翳し、それをじっと見つめる。
僅かに、眉間に皺が寄り、翳していた右手で目元を覆い隠した。

「……君が好きだ、フリオニール…」

明かせない胸の内を、どうやって押さえ込めば良い?
ちくりと痛む胸を、どうやって癒せば良い?
苦しくて、重い胸は、どうすれば軽くなる?
ウォーリア・オブ・ライトはそんなたった一言をぽつりと零すように呟き、目元を覆い隠したまま、両目を閉じた。


















変わりゆくもので五つのお題 『心』
2009.05.12 (c)rlrl.

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