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memory of children

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泣かないで、愛しい人よ

『想えば想うほど苦しくなる』、『愛の言葉を、そっと囁こう。』の続編になります。
とりあえず、両思い完結になってます。
ちょっと切ない感じになってますのでご注意を。(恋のABCならAまでとなってます)






人の良さそうな顔をして、平気であんな事を言っていた。

--貴方にだけは、俺の醜い心を知られたくないんだ。







やっとの思いでクリスタルを手に入れる事が出来た。
苦しく、長い道程だったが手に入れた輝きはみんな違っていて、その輝きは癒しを与えてくれる。
徐々に仲間たちも合流し始め、みんなが自分のクリスタルを胸に久方振りに会えた者同士で話が弾み、笑顔を垣間見る事が出来た。
そんな光景に、フリオニールは安心した。



夜も更けた頃、フリオニールは武器の手入れを遅くまで念入りに行っていた。
誰よりも武器を多く扱う彼はそれでなくても時間はかかってしまう。
やっと最後のナイフの手入れが終わると、ようやく床に就く事が出来る、と甲冑やバンダナや装備を外していく。
マントと揃いの色のアンダーシャツ姿になった時、何か動く気配に気付いたフリオニールは剣を咄嗟に手に取り、身を潜める。
岩影に隠れて見つからないように周囲を伺うと、手前近くの天幕の裏から片足がぬっと出てきたと思ったら、その気配はすぐに姿を表し、少しぐらりと揺れた。
見知った存在だと知ると、フリオニールは剣を鞘に戻してすぐに駆け寄って体を支えてやった。
その人物とは、コスモス陣営のリーダー格であるウォーリア・オブ・ライトだった。随分と疲弊しているようだ。
こんな彼の姿は珍しかったが、フリオニールはそんな事も考えずに今夜は自分一人だけの天幕に彼を連れて入った。
そしてストックのポーションを彼の体に降りかける。
少しだけ青く発光する微量の液体がすぐにでも傷を癒してくれる。

「ぅ…」

微かに動き、声を発するのを聞いて、やっと安心出来た。
頭を少しだけ浮かしてやり、眠りやすいように兜を外して傍に置く。
既にポーションは肌から吸収されているようだったが、フリオニールは額に浮かぶ汗を拭ってやる。

「…ライト」

そして、仮初の彼の名を呼ぶ。
呼び掛けると、彼の唇が再び微かにだが動いた。
それを確認したフリオニールは一旦天幕から出て行き、すぐに戻ってきた。
水の入った小さな皮袋を兜の傍に置く。
ポーションの効果のおかげか、大分顔色がよくなっているのに安堵し、再び立ち上がろうとした瞬間に手首を掴まれた。
フリオニールは掴まれた己の手首と、掴んだ相手に交互に視線を向けた。

「…気を使わなくて良い」

「だが、」

「…ここにいてくれ」

たったそれだけの言葉に何かを期待した反面、二人きりになるべくなりたくなかった念がフリオニールの心内でせめぎ合っていたが、言われた通り外に出るのを止めた。

「…あ、あの、」

「…どうした?」

「貴方に、礼が言いたくて」

「礼…?」

フリオニールが言っていたのは、カオス側のセフィロスに『夢』を取り上げられた時の話だった。

「…俺は恥ずかしい。たったあれだけで熱くなって、敵陣に一人で乗り込んだりしてしまって…でも、貴方が俺を押さえ込んでくれた。…ありがとう」

「…私は何もしていない。君の『夢』を取り返したのはクラウドだ。…礼を言う相手が違うのではないのか?」

そう言われてしまうと、確かにそうだった。
もちろんクラウドにはちゃんと礼を言っていたが、フリオニールは「…そう、だよな」と返事を返してから話さなくなってしまった。
折角の会話のチャンスを台なしにしてしまった。
耳が痛くなるほどの静寂が続き、彼がゆっくりと上半身を起こすのを見てフリオニールが手を貸そうとするのを制した。

「…どうも私は、言葉に刺があるようだ」

「え?」

「…君に、そんな悲しい顔をさせてしまった」

「え?!あ、いやっ…これは、」

どんな顔をしているのか、自分でも容易に想像出来た。
フリオニールは顔を見られないように俯いた。

「…貴方といると、良かれと思って行動してる事全てが裏目に出てしまって…情けない…自分が、とても……」

恥をかいている所ばかり見せてしまって、それを隠す言い訳すら思い付きやしない。

「…貴方のようになりたい」

--早く大人になりたい。

「貴方のように完璧で、頼り甲斐があって、力もあって……」

--もうこんな自分は嫌だ。

「子供は嫌だ。情けなくて、誰かを守る盾にすらなれない自分が情けなくて、情けなくてっ……」

--今すぐ、消えてしまいたい。

「………それは、無理な願いだ」

彼は、いつもと同じ平淡な声色でフリオニールにそう言った。

「君は私ではない。だから、私にはなれない」

解りきった事だった。
こんな事を言うのも、子供独特の『無い物ねだり』というものだと。

「だが、私は知っている。君がどれだけ仲間を大切にしているか、その思いやりの心、優しさ……私は、己の事など何一つ知らぬ哀れな人間だ。…君が羨ましい。仲間と言う光の加護がある君が」

震えていた手が、少しだけおさまってきたように感じた。

「命を投げ出してまで守った命など、誰も嬉しくはない。君には私にはない強さがある。その強さを盾ではなく、剣に変えて戦えばいい。失って良い命など、ありはしないのだから」

こんなに言葉を紡ぐ彼を始めて見た。
フリオニールを慰める、温かくも優しい言葉…何事にも変えがたいものだ。

「…フリオニール、私は…君から皆と同じように優しさと強さを貰った。だから、その君から貰った優しさと強さを剣にではなく、今は言葉として君に伝えたい事がある」

彼の言葉に、もう刺はなかった。
あるのは、優しく、耳に心地良い響きだけ。

「…このまま、伝えずにいようと思っていた。だが…この想いを、この戦いが終わってから失いたくはない。後悔したくない。…この戦いが輪廻ならば、この想いも…遥か彼方の昔から私の胸にあったものだと信じたい」

冷たい夜の風が、天幕の入口の隙間から吹き込んでくる。
それに反するように、彼の手は熱いくらいに感じた。

「フリオニール、君が…とても愛おしい」

頬に触れる、彼の手。
褐色のフリオニールの肌に、白く浮き上がるような、真珠のような手。
いつから零れているか解らないフリオニールの涙を拭ってくれている。
哀しかった。
寂しかった。
あんなに欲しかった言葉が、こんなにも切ない。

「……フリオニール」

重なる、柔らかい唇。甘い、キス。
涙に濡れて、少しだけ苦い。
離れたくなくて、このまま溶け合ってしまいたくて、フリオニールは両腕を彼の首に回す。
押さえ付けていた感情をぶつけるように、息苦しくなるくらいに激しい口付けを繰り返す。
口付けの合間に足りない酸素を肺に思いっきり吸い込んでも、まだ足りない。
小さな音を立ててやっと唇が離れると、頬が微かに赤くなっていた。
--体が、熱い。
フリオニールは、上目で彼を見上げ、同じように頬を赤らめ、荒く呼吸を繰り返し、濡れた赤い唇を見つめ、自分から再び口付けた。
一度だけ拙い、子供のようなキスをして、唇を離す。

「…何故、俺は貴方と違う世界で生まれてしまったのでしょうか……」

涙が、止まらない。

「……貴方と離れたくはない」

この恋を、誰に責めればいいのか。誰を呪えばいいのか。

「……私もだ、フリオニール」

ただ、信じられるのは…貴方の腕だけ。

「…愛している」

貴方という存在だけが、確かなものだ。



もう、この腕から離れたくはない。
貴方だけのものでありたい。

貴方だけに、愛されたい。



だからもう一度だけ、キスをしよう。










切ない恋に40のお題
『3.失いたくない思い』
2009.05.22 (c)rlrl.

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