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memory of children

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君に伝えたい、貴方に伝えたい

ウォフリで現代パロです。※激甘です。





世の中には便利なものが溢れかえっている。
パソコン、FAX、携帯電話…だが、俺には無関係なものばかりだった。
バイトを掛け持ちして、やっと生活できる毎日を送っている俺には。
こうして毎日布団に横になれるだけでも有難い。

彼…フリオニールには恋人と呼べる人がいた。
優しくて、いつも彼を気遣い、そして唯一の心の拠り所でもある。
しかし一緒にいられる時間は限られていた。
フリオニールはバイトを掛け持ちしているせいで授業が終わればすぐに学校を飛び出す勢いで下校するし、その恋人はといえば生徒会長を務め、毎日そちらに掛かりっきりだ。
告白されたのは嬉しかった。彼も同じ気持ちだったから。
(…でも、一緒にいられない)
休み時間は生徒会の仕事で彼には会えない。
かといって下校時間になれば挨拶も交わす事さえ出来ないほど急いで下校してしまう自分自身。
そんなすれ違いを繰り返していると、「付き合っている」という事実も夢ではないのかと感じてしまう。
それは自分勝手な夢で、本当は会話すらした事ないのかもしれない。
そんな毎日を繰り返していたある日、珍しく彼から声を掛けてきた。
渡されたのは小さな紙袋。中身は携帯電話だった。

「携帯…?」

「私の使い古しだがまだ使える。それを君に渡しておく」

銀髪の生徒会長はフリオニールを非常階段まで連れ出してそう言った。
だが、今の生活で精一杯な彼には携帯の料金まで払えるような経済的余裕は無かった。
悪いけど…と返そうとした彼に、恋人は大丈夫だからというだけだった。
番号が登録されているのは一件のみ。恋人の番号だった。
それを手渡して、恋人は「生徒会があるから」とまたいなくなってしまった。


以上が先週の話だ。
だが、その間この携帯電話が使われることは一度も無かった。
「肌身離さず持っていてくれ」という恋人の言葉に従っていつもズボンのポケットに入れているが、マナーモードのバイブで本体が揺れ動くことは一切無い。
夜の静かな時間にも関わらず、しん、と静まり返る部屋。
特に何もする事がないフリオニールは早々に眠る事を決めて布団に横になった。
バイトで疲れたせいもあるが…
(…一人が、こんなにも苦痛に思うなんて…)
心の拠り所を見つけて、自分を好いてくれる人が出来て初めて思った感情。
――寂しい。
そう思って寝返りを打った直後だった。
微かに聞こえる音と、布団から伝わる振動。
体ごと振り返らせれば、携帯が震えている。液晶画面が光っていた。
初めて操作するに等しい携帯に慌てながらやっと通話ボタンを押した。
相手は一人しかいない。

『すまない、起こしてしまったか』

耳に心地よい声。フリオニールは目を細めた。
その声が、酷く懐かしく聞こえた。

「…いや、大丈夫」

眠ろうとしていただけだ。
思わず出そうになった言葉をのみ込んだ。
だが、そこから会話が続かない。
フリオニールの耳に聞こえるのは、微かな彼の呼吸する音だけ。
でも、それだけでも良かった。

『…不備は起こっていないか?』

「不備って言われてもなぁ…今初めてボタン操作したから……でも大丈夫そうだよ」

彼が、そうか、と言うとまた会話が途切れる。
静かな音の中にだけ聞こえる呼吸する音、微かな物音……本当に静かだった。

『…明日なのだが』

「うん?」

『忙しいか?』

「明日は…バイト入ってなかったと思う」

何故か明日だけはシフトが入っていなかった。
いつも遅くまで働いてくれてるから、という店長からの思わぬプレゼントだった。

『図書室へ付き合って欲しい』

「勉強か?」

『調べたいことがあってな』

相変わらず真面目だな、なんて言葉を苦笑いしながら返した。
こんな風に彼に向かって笑うのも、どれくらいぶりかと思ってしまう。

「…俺で、いいなら」

まるで付き合う以前の関係のような事を言ってしまったが、フリオニールは少しだけ感じていた。
――この関係も、もうこれまでかもしれない。
所詮は男同士の虚しい恋愛。長続きしないのは解っていた。それに、彼に自分は合わない。
それも前々から感じていた。
そう思うと、何故か涙が出てきた。
彼には聞こえないように、携帯電話を手放して枕で顔を押さえつけた。

『…フリオニール?』

心配そうな彼の声。
何度も何度も呼ばれる自分の名前。

『…フリオニール』

呼ばれる度に胸が痛かった。
「大丈夫、何でもないよ。」
そんな言葉すら出てこない。
そんな時間がどれくらい経っただろうが、もう彼の声も聞こえてこなくなった。
呆れられてしまったかもしれない。
こんなにメソメソ泣いて、みっともないと思われてしまったかもしれない。
やっと涙がおさまってきて再び携帯を手に取ると、まだ通話中になっていた。

「あ…あの、ごめん俺、ちょっと…」

『フリオニール』

トーンの変わらない声が聞こえてきて、フリオニールは、はい、と反射的に返事をした。

『君は…私をどう思っている?』

突拍子も無い言葉が飛び出してきた。
どう思っている?
そんな質問を投げかけられ、フリオニールの頭と心を支配した感情は一つだけだった。

「…好き、だよ」

本当に好きだった。
このまま別れたくない。まだチャンスがあるならもっともっと傍にいたい。
でも、またすれ違う日々がフリオニールを待っている。
そう思うと、また涙が出てきた。

『…私から告白をしておいて、君の傍にはいられなかった』

「仕方ないだろ、それは…」

『…私には、君の傍にいる資格はないようだ』

冷たい言葉だった。
でも、このまますれ違いばかりだといずれはそうなる運命なのかもしれない。
携帯電話を放り出して、思い切り泣き出したいぐらい涙腺が緩んで視界が歪んで見える。

『…しかし、私は君が好きで仕方がない』

初めてだった。
彼の声が震えていると気付いたのは。

『私は君に相応しくない。だが…それでも君の傍にいて君を見ていたい。君にまた…好きだと伝えたい。……いや、好きなどという言葉では足りない』

夢を見ているような言葉の連続。
ハッキリ言えば、彼が何を言っているのかよく解らなかった。

『フリオニール、私は君を……』

少し間を置いて、囁かれる言葉。
涙はすっかり引いていて、涙の跡は乾き始めていた。

「……俺もだよ、ライト…」

俺は心のどこかで貴方を信じていなかったのかもしれない。
そうだ、一緒にいるだけが恋なんかじゃない。
俺は…ただ飢えていただけなんだ。
その言葉を、ただただ聴きたくて………



明日、会うのが少し照れくさい。
初めての言葉を囁かれて、俺はどんな顔で貴方に会えばいい?
なぁ、ライト。
明日はどんな話をしようか?
きっと、貴方は俺の話を聞いているだけだと思うけど、それだけでも俺は満たされる。
だって、俺は貴方に―――


『…おやすみ、フリオニール』

「ああ、おやすみ…ライト」


また、明日――











幸せを感じるとき20のお題 『19.愛される喜びに』
2009.06.18 (c)rlrl.

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