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memory of children

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本当の雨じゃない。

クライシスコア版です。



「あーあ、降ってきたなー」

灰色の空に変わりは無いが、こうしてたまに雨が降り出す。
最近は反神羅組織による目立った騒動はおきていないせいか、どこか平和ボケしてきていた。

(いやいや、こうしてる間にも戦争してるっつーの)

彼はやれやれと頭をかきながら社宅に帰る途中だった。

「ん?」

と、LOVELESS通りを横切ろうとした時に検問をしていた一般兵に視線を向ける。
ミッドガルに身を隠す反神羅組織を捜索中だという話は聞いていたが、もしかしてそれなのだろうか、とその兵士に近寄る。

「よ、ご苦労さん」

そう声を掛けて微笑むと、兵士は彼に気づいて背をぴしっと伸ばして無言で敬礼する。

「…あれ?もしかしてクラウド?」

「え…?」

相手は相当驚いたのか、驚いた声を上げると彼は「やっぱり!」と嬉しそうに笑った。

「なんで俺だって解ったんだ?マスクしてるのに…」

「うーん、雰囲気、かなぁ?」

「…俺ってそんなに他の皆と違うのか?」

「そうじゃねーって。大丈夫大丈夫、お前はちゃんとやれてるよ。検問してんだろ?」

「うん、まぁ…ザックスも?」

「ま、そんなとこ」

仕事中のクラウドに「いや、もう帰るんだ」とはいえないザックスは適当にそう言った。

「検問っつっても殆ど誰も通らないだろ?時間が時間だし」

「そう、だな…IDチェックするだけだし…」

「ここの通りはクラウドが担当してるのか?他の奴見当たらないけど」

ザックスはシン、と静まり返っている通りの周囲を見回すと、クラウドはこっくりと頷いた。

「誰もいないならマスクとれよ、暑いだろ?」

「いや、でも…」

「だぁーじょーぶ、お前は怒られないって。俺が許可したんだからさ」

クラウドは周囲を気にしているのか、二、三度周囲を確認してからマスクを外した。
明るい金髪と青い瞳が顔を覗かせる。
ザックスは満足そうに笑って建物の壁に寄りかかった。

「なかなか止まねーなー」

空は相変わらずの雨。
クラウドの方をちらりと見れば、会社から支給されている銃の点検をしている。
どこまで真面目なのか、ザックスは小さく笑ってクラウドの顔を覗きこむ。

「神羅製の機関銃ね、ちょっと前までは不備が多いって武器開発の連中があーだーこだ会議してたっけか」

「仲間でも、ジャムを起こす奴が多いんだってさ…」

「だろ?機関銃は装弾数は多くても問題がなぁ…」

ザックスはそんな世間話をするが、クラウドはどこか表情が暗い。

「…先週の、ソルジャー適性検査の結果…出てたんだ…」

ザックスが予想していた話題だった。
だからあえて避けていたが、クラウドの話をじっと彼は聞いていた。

「…やっぱり駄目なんだ、俺って…どんなにソルジャーになりたくても、適性ゼロだから、そんなんじゃソルジャーになっても、魔晄中毒になるだけだって……廃人だってさ」

機関銃を持つ両手と頭を下げ、そんな事を話すクラウド。

「ソルジャーになりたい、なんて思うだけじゃ駄目なんだよな…適性、なんて言われたら…もう何も言えなかったよ…」

項垂れて、小さな声で話すクラウドの声は、徐々に雨音に消されていくようだった。
ザックスは壁に寄りかかったまま、自分のソルジャー服をちらりと見た。
適性も、才能もあると言われた自分。
適性がないと言われたクラウド。
ソルジャーになれて嬉しかった。しかもとんとん拍子のように階級まで上がり、今では1stにまで上り詰め、今ではセフィロスと肩を並べられるまでにまでなった。
ここで下手に『頑張れ、大丈夫』なんて到底言えなかった。
それでもなんとか励まそうと言葉を探す自分が、どこか滑稽だった。

「…ありがとう、ザックス」

「え??」

言葉を探していたザックスはクラウドの言葉に驚いて顔を向ける。
さっきまで落ち込んで沈んでいたのに、クラウドの顔は優しく笑っていた。

「また、俺を励ましてくれようとしたんだろ?」

目を細めて、笑っていた。

「…俺、適性無くても頑張るよ。今度の検査も受ける」

クラウドは頭を上げてまっすぐ前を向いた。

「ザックスが俺にいつもくれる言葉は、俺の宝物だから。それを思い出すだけで…やれるような気がするんだ」

クラウドは足元に置いていたマスクを被った。
「そろそろ集合時間だから戻る」と、クラウドはザックスに向かって敬礼してLOVELESS通りを去っていった。

ザックスはクラウドの言葉を頭の中でリフレインさせる。
『ありがとう』
『ザックスの言葉は宝物だから』
違う、そうじゃない。
俺は何も知らないでお前を励ましてたんだ。…最低だ。
誰にでもソルジャーになれるわけじゃない。そうなんだ。それを俺は忘れていた。
俺の無責任な言葉でクラウドは笑っていた。そんなのはおかしい。
本当なら俺を責めるはずなのに、どうしてお前は笑ってるんだ?
これまでにないほど頭を抱えて後悔したいが、ザックスはしゃがみこんで背中を丸めるだけだった。
頭を抱えたって、言ってしまった事は過去だ。修正なんて無理なのだ。

「……今度からは言葉に気をつけよう…」

なんだかんだで、励まそうと思っていたのに励まされてしまった。
しかも、あんな笑顔で。

(…けっこー、可愛かった、よな…?)

しかし、思わぬ出来事に少しザックスは頬を赤らめてぽりぽりと頬をかいた。



現在2300

雨は、すっかりあがっていた。






2008.07.28 (c)rlrl.

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