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memory of children

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曇天の空の下で

アドベントチルドレン版です。




あの時、俺が正気ならば。
あの時、俺があんたを庇っていたら。
あの時、俺があんたの腕を引っ張ってでも逃げていたら。

未来は、どんな風に変わっていたのだろうか。


あれから、八年だ――






毎晩同じような夢を見て、夜は眠れない。
過去は拭い去ったつもりなのに、頭はついていっていないようだ。
あのときの夢ばかり見ている。最悪だ…よりにもよって『あの時』の夢を見るなんて――

耳を劈く銃声。
頬を打つ雨の冷たさ。
滑る血の感触。
俺には重くて、引き摺ることしか出来なかったバスターソード。

全てが昨日のことのようで…いや、目が覚める直前の出来事だったようだ。
目が覚めて飛び起きた直前は頭がぼんやりとして、耳鳴りがする。
キン、と頭が割れそうに痛くなって、ベッドに蹲る。
大声で叫び続けたように喉がカラカラで痛い。暫くは声が出なくなる。
鼓動もいつもより早くなって呼吸もままならなくなる。


俺は過去は全て、あんたのものだった。

ザックス――

俺の目も髪も指先も足も身体も骨も血液も筋肉も。
全部全部全部全部全部。

あんたで出来ているんだ。


いっその事誰か俺を責めてくれればいいのに。
そんな人間すらもいない。

「何で俺を庇ったんだ。何で俺を隠した。なんで、なんでなんでなんでっ………」

耳も目も覆い隠せない。
銃口が迫ってくる。
あの音が、
あの、音が――

「やめろ、くるな…くるなっ!!くるなっ!!」

剣が手から零れ落ちて、地面に落ちる音。

ガシャンッ



『    』


「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!!」



聞きたくない聞きたくない聞きたくない。
見るな見ちゃ駄目だ見ちゃ駄目だ。

頭が痛い。酷い頭痛がする。
涙で視界が滲んでいる。
叫んで喉はカラカラだ。もう叫べない。

苦しくて、死にそうだ――
















「――クラウド」

揺り起こされて、目を覚ます。
ティファの顔が見える。

「おはよう、朝ご飯出来てるわ」

優しく微笑みティファの顔を見て、俺は頷く。
俺は昨日も魘されていた筈だ。マリンやデンゼルを起こしていなければいいが…

「…ティファ、俺…昨日も魘されてたか…?」

「…ううん、昨日は静かだったわ」

ティファは首をゆっくり左右に振って否定の意を表す。
あれだけの叫びを聞かれていなかった筈は無い。やはり夢だったのだろうか?

「ほら、寝癖ついてる」

ティファは笑いながら俺の寝癖を撫で付ける。
俺も適当に手櫛で誤魔化す。
そうして、ティファは俺の手を引いて部屋から引っ張り出す。

「さぁ、今日も仕事があるんだから、しっかり食べてね?貧血で倒れた、なんて電話はしないでよ?」

ティファは苦笑いで俺にそういってからかう。
もうリビングルームにはマリンとデンゼルが座っていた。
毎朝の光景。
俺には決して似合わない笑顔と、日の光を浴びた時間と空間。
楽しげなマリンとデンゼルの声もどこか遠くに聞こえて、俺は目を伏せる。


俺には、あの鈍色の曇天が似合っている。












『いない君を想って20のお題』
8.何処にも君はいない

2008.07.29 (c)rlrl.

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